未来を見据えて富山県内でつながる。能登半島地震からの復興を願う支援の輪-1
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未来を見据えて富山県内でつながる。能登半島地震からの復興を願う支援の輪

記事公開日:2024.03.26

2024年1月1日に発生した能登半島地震から約3か月、富山県で甚大な被害を受けた被災地や、隣接の石川県の復興を願う支援の輪が広がっています。

1日でも早い復興を願い、震災を経験したいま、自分たちにできることを懸命に取り組む、富山県内の宿泊施設、酒蔵、ワイナリー、防災にまつわる情報を届ける企業など、未来を見据えた支援、活動するに至ったその思いを紹介します。

※掲載情報は2024年3月時点の情報です。最新情報などは公式ホームページをご確認ください。

未来につなげる支援のかたち。氷見の海辺の宿〈HOUSEHOLD〉

2024年1月1日の能登半島地震で、震度5強の揺れに襲われた富山県の北西部に位置する氷見市。氷見で海辺の宿〈HOUSEHOLD(ハウスホールド)〉をご夫婦で営む、笹倉慎也さん、奈津美さん。

「幸い家族やスタッフ、ゲストに被害はなく、建物もほぼ無事でした。しかしいざ現実と向き合うと、ニュースやSNSで地震の惨状が流れてきて、能登で暮らす人々の顔が次々と浮かび、いてもたってもいられないほどの不安になりました」と、地震発生時の状況を振り返ります。

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    笹倉さんは2015年に転職と結婚を機に東京から氷見へ移住。当初は市街地の賃貸マンションで生活していましたが、この地で漁師町の人々の暮らしに触れるうちに、海のそばで暮らしたいと考えるように。

すぐに氷見市で津波警報が出たので避難所の小学校で一夜を家族で過ごしたといいます。能登半島地震の発生後の宿泊予約はほとんどがキャンセルに。

そんななか、長野県諏訪市で古材と古道具を扱うリサイクルショップを営む〈リビルディングセンタージャパン(以下、リビセン)〉の東野華南子さんや、クリエイティブディレクターとして活躍する氷見出身の谷本好さんをはじめ、日頃からお世話になっている知人からの「自分たちに何かできることはないか」という連絡はとても心強かったといいます。

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    自宅となる空き家を探しているなかで、数年かかって出合った海辺の古いビル。「ここで何かできないか」とひらめき、リノベーション。2018年7月に1日2組限定の宿〈HOUSEHOLD〉をスタートしました。

〈HOUSEHOLD〉の近辺でも建物の倒壊や損壊があり、道路はあちこちで通行止めとなり、断水が続くなか、2歳の息子さんや県外から移住してきたスタッフを守りつつ、自分たちの宿が無事だったからこそできることはないかと考えるように。

間接的にでも応援したいと、空室になり安全を確保できる部屋を、被災者や被災支援に関わる方々に無償提供することをInstagramで呼びかけを行いました。

1月4日にはリビセンの華南子さんや谷本さんから、被災地に届けるための支援物資を集め始めたと連絡があり、緊急で支援物資が必要な避難所のなるべく近いところまで運んでおくことが有効であると判断し、〈HOUSEHOLD〉がその支援物資の中継地点となり、荷捌き場として連携することで、貢献できないかと考えました。

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    撮影:東野唯史(ReBuilding Center JAPAN)

全国からリビセンに集まった支援物資は、当初の想定をはるかに超えて2トントラック数台分に。その物資をどのように届けるかについて思案していたところ、2023年に〈HOUSEHOLD〉で個展を開いた、石川を拠点に活動するアーティストの饅頭VERY MUCHさんが、避難所に物資を届ける支援活動「能登とととプロジェクト」を行っていることを知り、連携して取り組むことに。

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    数日単位のタイムラグがあるため、支援が行き届かない小規模の避難所にも支援物資を届けたいという思いから呼びかけを行いました(イラスト:山本ひかる)。

氷見市は能登半島の東側付け根の部分に位置し、「能登とととプロジェクト」の支援物資拠点である石川県かほく市は、西側の付け根部分にあたります。

高速道路で金沢市から能登方面に向かう通り道でもあることから、円滑に支援物資を届けるため、饅頭さんが届けている物流にのせようと判断し、調整を行いました。

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    〈HOUSEHOLD〉に届いた支援物資は、そのまま避難所に受け渡すのではなく、不要なものなどは事前に除外したり、現地で使いやすいように段ボールにラベルを貼って整理。

「能登とととプロジェクト」の事務局では支援物資の収集配送に加えて情報班が立ち上がり、金沢在住/帰省中の有志がInstagramやXに上がってくる支援希望の声や現地の道路情報などを吸い上げ、電話でのヒアリングを行い、避難所でのニーズを抽出していました。笹倉さんは活動が円滑に進むよう、事務局に移動し、運営のサポートを行いました。

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    家族や仕事の事情などにより、やむを得ず被災地に向かう必要がある方々にも立ち寄ってもらい、車の隙間に物資を詰め込んで避難所まで届けるなど、運搬物資の最適化を意識して取り組みました。

「能登半島は海に囲まれていて陸の1方向からしか支援に行けません。被災地への数少ない主要道路さえも損壊し、渋滞が発生したり、一般車両の道路の通行止めになるなど、数時間おきに変化する緊迫感ある状況のなかで、支援ニーズの変化などにも対応しながら玉石混交の情報から正確な情報を見極め、判断力が必要になります」(笹倉さん)

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    ヒアリングした情報などを付箋に書き出した紙地図。

「この活動では饅頭さんをはじめ、職業や立場も違う人たちが集まり、被災された方々の切実で悲痛な声を直接受け取っていました。それぞれ信念を持ち、柔軟に対応し、クリエイティブやユーモアも忘れず、相手が置かれている状況を想像して手を差し伸べる。そのような姿勢が大切だと実感しました」(笹倉さん)

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    (写真中央・左)〈リビルディングセンタージャパン〉東野唯史さん、(写真右から2番目)饅頭VERYMUCHさん(撮影:Yoichi Naiki)

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今後〈HOUSEHOLD〉では、毎年開催している「やわい屋の行商」を作家さんの協力を得てチャリティイベントとして開催したり、「もしもに備える防災ワークショップ」などの防災意識を高めて実践を促す企画も計画しているといいます。

また、氷見や能登の復興に向けた草の根活動として〈HOUSEHOLD〉の喫茶では、「Pay it forward(ペイフォワード)」(お店を利用したお客さんが次に来店する誰かのために代金を先払いする仕組み)という、つながりが見えやすい寄付のかたちを実践。

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    3月から1階のカフェではじめたメニュー「いつもよりあたたかいコーヒー」(1000円)。いつものコーヒー(400円)に、お風呂チケット(600円相当)がつき、お風呂チケット(近隣の温浴施設3店舗から選択可能)は、〈HOUSEHOLD〉に立ち寄ってくださった未来のゲストの方に贈られる仕組み。

「“HOUSEHOLD”は家庭と訳しますが、一緒に食事をし、日々の暮らしをともに支えあう人の集まりという意味も。まちの営みは、たくさんある家庭の営みの集合体でもあり、日々の暮らしを支えあう“まちはひとつの大きな家庭”とも解釈できます」(笹倉さん)

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    お部屋「yane」から見えるまちや海。「氷見を訪れる人とこの営みの中継点になりたいという想いから “HOUSEHOLD”と名付け、それを実現するために、1階は喫茶、2階はギャラリー、4階は1日2組限定の宿泊施設という複合施設をはじめました」。

「訪れた土地で料理をすることで、まちの豊かさを一番に味わえる。氷見を訪れた人たちが、豊かな自然や食材をより身近に感じ、料理を通して日常の楽しさを共有し、その魅力を届けたい」という思いから“勝手口からの旅”というコンセプトに。

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「海と里山が近い氷見では、食材が食卓に並ぶまでの過程をよく目にします。例えば魚。漁港の漁師さんは獲れたばかりの魚を市場に運び、(せり人や仲卸業者など)買い手によって取引され、魚屋に並びます。それを買って、料理をつくる。こうして食卓に並ぶのは、さまざまな人々の日々の営みがあるからこそだと感じています」(笹倉さん)

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    〈HOUSEHOLD〉は、まちと料理を楽しむための宿として、宿泊ゲストの方も台所に立ち、積極的に料理を楽しんでもらうことをおすすめしています。

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「もちろん飲食店でプロがつくる料理を味わうのも、旅先ならではの贅沢。だけど、魚や野菜を包丁で切る音や手の感覚、食材に火を通した時の香りや色味、旬の食材の新鮮さをより強く感じるからこそ、その地域らしさや郷土の味をより深く感じられると思います。
これは台所に立ち、料理をした人にだけわかる歓びです。料理がうまいかは関係なく、その楽しさに出合える、そういう場所であり続けたいです」(笹倉さん)

Information HOUSEHOLD(ハウスホールド)

address:富山県氷見市南大町26-10
営業時間:cafe(喫茶) 13:00〜18:00(17:00L.O.)
※1階のcafeは宿泊者以外の方も利用可能
日曜のみ朝営業あり/8:30〜10:00(9:30L.O.)
定休日:木・金曜

まちへの恩返しを込めて。氷見で約50年、三代で築いてきた〈民宿あおまさ〉

氷見市の松田江浜の絶景に面した〈民宿あおまさ〉を営む女将・青木栄美子さんは、能登半島地震が起きたとき、海から1キロほど離れた自宅にいた家族(夫と生後2ヶ月の乳児)と、市内の高台まで車を走らせて一晩を過ごしたといいます。

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    現在フリーアナウンサーの顔を持ちながら、〈民宿あおまさ〉の女将として、氷見の魅力を発信している青木栄美子さん。

「避難中は自宅や宿がどんな状態になっているか不安な気持ちでいっぱいで。幸い大きな被害はありませんでしたが、倒壊した家屋や地割れなど、痛々しい地震の爪痕がまちのあちこちに残り、震災直後は市内の広い範囲で断水となり、お風呂やトイレなども使用できませんでした」(栄美子さん)

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    富山湾を眺めながら楽しめる前面展望のプライベートサウナも併設し、海直結のロケーションでサウナと温泉を楽しめる〈民宿あおまさ〉。

〈民宿あおまさ〉では、偶然飲用許可を得ている安全な地下水がタンクに貯水してあり、使用することができました。そこで、避難した時の自分たちと同じように、被災して食べ物がなく不安な気持ちで過ごしている人がいるのではないかと考え、宿を解放してお米がなくなるまで炊き出しをすることに。

さらに温泉入浴を無料解放し、1月2日から6日にかけて氷見市内や石川県の七尾や穴水などから450人以上の被災した方が〈民宿あおまさ〉を訪れました。

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    「地震が起きてから初めてのごはんでした!」「5日ぶりのお風呂をありがとう」と涙を流して感謝の言葉を伝えてくださったのがとても印象に残っています。

〈民宿あおまさ〉は、1972年に栄美子さんの祖父が創業。氷見で50年以上続く民宿として親しまれ、“あおまさの娘さん”と呼ばれながら、地元の人やお客さんたちにも、かわいがってもらいながら、この地で育ったという栄美子さん。

だからこそ、いま自分たちにできることで、少しずつ地域に恩返しをしたいという思いが大きいといいます。しかし、数年前のコロナ禍の時期は、経営状況が落ち込み、後継者もいないことから、家族で宿をたたむことも考えていたと当時を振り返ります。

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    〈民宿あおまさ〉を今後どうしていくべきか悩んでいましたが、夫である辻井隆雄さん(写真中央)との結婚をきっかけに、夫婦での事業承継を決意。

「アナウンサーの仕事もしていて、やりがいもあり、民宿での仕事と両立するのは難しく、自分が一人で継ぐのは無理だろうなと考えていました。そんななか結婚が決まり、悩んでいることを知った隆雄さんが一緒にやってみようと後押ししてくれて。仕事で苦楽を共にするのも、2人であれば頑張れそうだなと思えたんです」(栄美子さん)

氷見で生まれ育った栄美子さんは、このまちを一言で表すとしたら「海と魚のまち」だといいます。定置網漁で水揚げされた魚は鮮度が抜群。

そんな朝獲れのおいしい魚を日常で気軽に食べることができるのが、氷見に住んでいて、幸せだと感じられる要素のひとつだそう。海沿いを歩けば、潮の香りに波の音。魚屋を覗くと、きらきらした新鮮な魚たちが並んでいます。

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「漁業が盛んで、冬はブリがおいしい。もちろん、ブリ以外の魚も豊富で、春はサヨリやイワシ。夏は岩がき、秋はノドグロ。こうした四季折々の海鮮が楽しめるのは、栄養豊富な富山湾ならではの魅力です」(栄美子さん)

今後も〈民宿あおまさ〉では、ポジティブに氷見の魅力を発信していくこと、そして地震の二次的な被害から宿や地域を主体的に守ること。この2つを大切にしながら継続的に取り組んでいきます。

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「これまで炊き出しやチャリティーイベントなど、地域のために宿としてできることを精一杯やってきました。観光客は減少し、〈民宿あおまさ〉でも地震直後の宿泊予約は、8割がキャンセルになってしまい、厳しい状況ではありました。

しかし、自分が元気じゃないと人を助けることはできません。これまで通り〈民宿あおまさ〉を営業して、必要な情報を発信しながら、震災前のように、活気のある宿になるよう、取り組んでいけたら。私たちも被災者ではありますが、無理のない範囲で今こそできることを続けていきたいと思っています」(栄美子さん)

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    〈民宿あおまさ〉の目の前に広がる、晴れた日には海越しに立山連峰まで臨めるオーシャンビュー。「今年3月から、これまで金沢が終点だった北陸新幹線が福井県敦賀市までつながり、さらにアクセスもよくなります。人とのご縁がいろいろなかたち広がり、氷見がさらに楽しいまちになったらいいなと思います」

Information 民宿あおまさ

address:富山県氷見市窪3203-1
tel:0766-91-5157
定休日:不定休

海から里山まで広がる雄大な自然、多彩な食の恵みを味わうことができる氷見。みずからも被災者となりながら、震災を経験したいまこそ、自分たちにできることを懸命に取り組む。その支援の輪は少しずつ着実に広がっています。

氷見の風土が醸すワイン造りを。ワイナリー〈セイズファーム〉

氷見市で江戸時代から続く老舗魚商〈釣屋魚問屋〉が母体のワイナリー〈SAYS FARM(セイズファーム)〉。ドメーヌとして100%自社原料のみの葡萄で、この土地でしかできないワイン造りを行っています。

一本の瓶に、海から丘に吹く心地よい風や、北陸のやさしい陽の光、深々と畑に降り積もる雪も、みんな一緒に詰め込んだ氷見の風土が醸すワイン。ごくシンプルな理念のもと「北陸が生む美しいワイン造り」を日々目指しています。

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    2007年にオープンした、富山湾と海越しの立山連峰をのぞむ、氷見の小さな丘の上に位置するワイナリー。

「能登半島全域や支援が必要な地域が多くあり、〈セイズファーム〉としても、まずは自分たちが暮らすまちの一日も早い平穏と復興を願うこと、そして事業を継続すること、ここで働くスタッフの暮らしを守ることが最優先である」という想いから、2024年に店頭での販売を予定していたワインを、氷見市ふるさと納税の返礼品として出品。

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    〈セイズファーム〉ワインセット(復興支援オリジナルエコバッグ付)。「少しでも氷見復興の財源になり、ご支援をいただく方の気持ちや笑顔を通して、氷見にエールを送っていただけることが、なによりの励みや支援になると考えました」

今回の売上金の一部は、「同じ能登半島で、食に携わる者として、ワイナリーとしてできることをしていきたい」という思いから、石川県の七尾や輪島などで、自分たちが被災しながらも現地で懸命に炊き出しなどの取り組みをされている「北陸チャリティーレストラン」のシェフの皆さんの今後の活動や、お店の再建のための資金として寄付。

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    氷見漁港の近くで、シルクスクリーン印刷の体験やオリジナルTシャツなどの製造、販売を行っている「FCTRY(ファクトリー)」と共同で復興の願いを込めて製作したエコバッグも同梱。氷見での日常を取り戻し、みんなで助け合いながら、取り組んでいきたいという思いが込められている。

Information SAYS FARM

SAYS FARM チャリティーセット
シードル1本(750ml)、アップルジュース、エコバックセット(寄付金額:24000円)

SAYS FARM ワインセット
ワイン3本(750ml)、アップルジュース、エコバックセット(寄付金額:61000円)

address:富山県氷見市余川字北山238
tel:0766-72-8288

八尾町の老舗酒造〈玉旭酒造〉が届ける、富山産にこだわった丹精込めた1本を

富山市の南西部、「越中八尾おわら風の盆」で知られる八尾町。昔ながらの情緒が色濃く残るまちで、1808年の創業から210年以上、県内有数の老舗酒造場として、北アルプス立山連峰の恵みである軟水地下水を使い、すべて富山県産米を採用し、こだわりある酒造りを続けてきた〈玉旭酒造〉。

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    富山県産の酒造りにこだわり、決して大量生産はせず、1本1本真心を込めて、直接お客様に手渡しできるような酒蔵を目指している。

玉旭酒造にとって能登は深いつながりがあり、酒造りにおいても忘れてはいけない存在だといいます。先代まで能登杜氏組合所属の杜氏、蔵人により酒造りを行ってきました。そして、現在13代目当主を務める玉生貴嗣(たもうたかつぐ)さんも、能登杜氏のもとで酒造りを学んできたのだそう。

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    「富山県内でも地震により甚大な被害を受けた酒蔵が多くあり、そんな人たちが一日も早く日常を取り戻し、またおいしいお酒が造れるように微力ながら支援をしていきたい」という思いから、1月18日から復興支援酒「能登半島地震復興支援大吟醸」を発売。

「厳冬期は日本酒造り最盛期。本来ならば活気に満ち溢れていたであろう酒蔵が復旧作業に追われ、酒造りを中断せざるを得ない状況に心が痛みますが、微力ながらこの地で培ってきた酒造りを通して、支援を行っていけたらと思っています」(玉生さん)

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    北は北海道から南は奄美大島まで全国各地からの注文があり、販売からわずか4日で694本が完売。商品の売上の全額(消費税・酒税を含む)を石川県と富山県の酒造組合支援金として寄付。

Information 玉旭酒造

address:富山県富山市八尾町東町2111
tel:076-455-1331
営業時間:9:00〜19:00

伝統を継承し、革新的な取り組みも。〈三郎丸蒸留所〉のウイスキー造り

  • 伝統を継承し、革新的な取り組みも。〈三郎丸蒸留所〉のウイスキー造り-0

北陸で最古のウイスキー蒸留所〈三郎丸蒸留所〉を運営する、砺波市の〈若鶴酒造〉。2017年の大規模改修により、新たなスタートを切った〈三郎丸蒸留所〉では、伝統を継承しながら、数々の革新的な取り組みに挑戦しています。

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    2024年1月22日に販売した「シングルカスク三郎丸 能登チャリティーボトル」は即日完売。〈三郎丸蒸留所〉のシングルモルトウイスキーひと樽をチャリティーボトルとしてボトリングし、消費税と資材費を除いた売上全額を寄付。

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    チャリティーボトルのラベルイラストは、能登のシンボル・見附島。「島の形は変わっても私たちの心の中にあるのは、あの『軍艦島』。昔のままのあの島と昇る朝日に復興の思いを込めました」

2019年からは、高岡市の伝統産業である高岡銅器の技術を活かして世界初の鋳造製蒸留器「ZEMON(ゼモン)」で蒸留した原酒の商品化など、地元の産業振興に寄与する取り組みにも力を入れています。

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    庄川の豊かな水や富山県産のミズナラ材を用いた樽など、県内の豊かな自然から恩恵を受け、富山でウイスキーをつくることの意味を考えることが、根幹にある。

「〈三郎丸蒸留所〉もこれまで決して平坦な道を歩んできたわけではありませんが、地震の影響で今期の酒造りを断念せざるを得ない仲間たちもいる。そのような状況のなかで、70年以上もウイスキー事業を続けられたのも人々の支えがあったからこそ」とウイスキーでお返しをしたいという思いが強くあるそう。

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    チャリティーボトルでの寄付に加え、2024年3月31日まで「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」の売上の一部を石川県に寄付。「北陸の魅力を世界に発信し続けることで、少しでも地域への応援、恩返しができたらと思っています」

Information 若鶴酒造

address:富山県砺波市三郎丸208

日常で段ボールを活用し防災意識も高める段ボール製造会社〈サクラパックス〉

  • 日常で段ボールを活用し防災意識も高める段ボール製造会社〈サクラパックス〉-0

富山市の段ボール製造会社〈サクラパックス〉では、段ボール製のベッドやパーティションなどを製造し、氷見市や石川の避難所に無償で提供を行いました。1月5日から支援を開始し、約1200個のベッドを届けています。

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    組み立て式の段ボールベッドは幅185センチ、奥行き90センチ、高さ41センチ。テープを使用する必要はなく、500キロ(段ボール1箱あたり)の重さまで耐えることができる。

2011年の東日本大震災をきっかけに、段ボールを活用した防災関連商品の開発、県民の防災意識を高めるワークショップの開催にも積極的に取り組んできました。

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    2022年に開設したWebサイト『段ボールでまもろう』。

災害発生時の避難所では、まずは命をつなぐことが優先されますが、衣食住の供給が安定してからは、メンタルヘルスのケアも大切になります。

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『段ボールでまもろう』のWebサイトやSNSでは、物資が運び込まれた後に出る不要な段ボールなどを使って、簡単に工作できるアイテムを開発し、その作り方など、役立つ情報をお届けしています。

避難所や自宅で手に入りやすい段ボールでつくれる、避難生活アイテムの紹介や、防災に関する豆知識など、日々発信しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

Information サクラパックス

address:富山県富山市高木3000(本社)
tel:076-436-6191(本社)

能登半島地震によって被災しながらも、自分たちのまちの魅力を発信する宿泊施設、富山の風土を生かした酒造りを続ける酒蔵やワイナリー、防災に関する役立つ情報を届ける地元企業……、さまざまな立場から、この先の未来を見据えて、富山県内でも着実に広がっている支援の輪。

今年3月には、北陸新幹線が福井県の敦賀まで延伸され、北陸3県へのアクセスもより便利に。北陸を、能登を、富山を元気に。『doors TOYAMA』では一日も早い復興を願って、今こそ富山の多彩な魅力を日々発信していきます。

credit text:『doors TOYAMA』編集部


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