富山で“ここにしかない体験”ができる宿|昆布・井波彫刻・ハーブサウナ・散居村-1

富山で“ここにしかない体験”ができる宿|昆布・井波彫刻・ハーブサウナ・散居村

観光は消費型から滞在型へ

従来はその土地の観光地を巡り、名物料理を味わう“スポット消費型”の旅が定番でしたが、昨今は宿に滞在しながらその土地の文化や自然にじっくりと触れる“滞在型”の旅が注目されています。

泊まること自体が目的となる。富山県には、そんな新しい旅の形を叶える宿があります。ここでは、昆布文化、井波彫刻、和ハーブリトリート、散居村など、富山ならではの魅力を体感できるおすすめの宿をご紹介します。

【KOMBU HOUSE|コンブハウス】富山の昆布文化に触れ、楽しみ尽くせる宿

◆宿の紹介◆

富山市は長年、家計調査で昆布消費量全国1位を記録。富山県は日本でも指折りの昆布文化が根付く土地として知られています。その理由は江戸時代に北海道からの北前船が富山湾に寄港し、大量の昆布が運ばれたため。昆布締めや昆布出汁、とろろ昆布など、富山の食卓には現在でも昆布料理が多く登場します。

そんな富山県の昆布文化を、宿泊体験を通してたっぷり体感できるのが、高岡市金屋町にある一日一組限定の宿「KOMBU HOUSE(コンブハウス)」です。宿のコンセプトは“昆布づくしのおもてなし”。富山の食文化を語るうえで欠かせない"昆布"を、料理だけでなくドリンク、スキンケア、エステなど、肌でも味わえるのが特徴です。

◆ここでできる体験◆

・昆布風呂|宿には昆布を使ったシャンプーやトリートメント、洗顔料などのアメニティーが充実。特に天然成分とぬめりが溶け出す昆布風呂専用の入浴剤は、お肌がしっとりすると評判です。

・コンブBAR|1階のバーでは、昆布焼酎や昆布出汁を使ったお酒やノンアルコールカクテル、さらに昆布を使ったさまざまな創作料理を提供。カクテルグラスを片手に、昆布の旨みを活かした一皿を味わえば、富山の伝統食を新しいスタイルで体験できます。

・昆布エステ|趣のある町家の一室で受ける施術は、静けさに包まれる贅沢なひととき。昆布に含まれる豊富なミネラルや保湿成分を取り入れたパックは、お肌をしっとりと整え、深いリラクゼーションへと導いてくれます。(※エステの料金は宿泊費と別)

◆その他の特徴◆

「KOMBU HOUSE」のオーナー・竹中志光さんは、昆布締め専門店「クラフタン」も経営。富山県産の豚肉を昆布締めにしたしゃぶしゃぶや昆布水を使ったカクテル、昆布4種の食べ比べなど、さまざまな料理を提供しながら、会話で楽しませてくれます。

宿泊施設のある金屋町は千本格子の町家が立ち並ぶ歴史的な町並みが特徴。江戸初期に加賀藩の命で鋳物師が集められたことから栄え、今も「高岡銅器」の伝統が受け継がれています。石畳のメインストリートには工房やショップが多く立ち並んでいるので、情緒ある町並みの散策拠点としてもおすすめです。

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KOMBU HOUSE(コンブハウス)-1

KOMBU HOUSE(コンブハウス)

住所/富山県高岡市金屋町3−2
電話番号/090-6276-9034
チェックイン/16:00 チェックアウト/10:00
予算の目安/77,000円~(大人2名・1泊2食付き)
 ※1名の場合は44,000円~
客室数/1日1組限定(最大4名まで)

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【Bed and Craft|ベッド アンド クラフト】井波彫刻の町で職人に弟子入り体験

◆宿の紹介◆

日本有数の木彫刻の町・南砺市井波。江戸時代、瑞泉寺の造営をきっかけに多くの彫刻師が集まったこの地には250年を経た今でも約200人の職人たちが暮らしています。欄間や木彫看板が飾られた軒先や、工房が軒を連ねる石畳の町並み。そんな井波の伝統的な町家に泊まって、職人の息遣いを肌で感じられるのが「Bed and Craft(ベッド・アンド・クラフト)」です。

コンセプトは“職人に弟子入りできる宿”。一日一組限定の宿が6つあり、木彫や漆、陶芸、仏師、作庭と異なる作家がプロデュースしています。宿泊者はまず、本町通りにある「チェックインラウンジ」へ。コンシェルジュがこだわりのドリンクで出迎えてくれて、井波の町や宿泊する宿の見どころ、作家などについて丁寧に説明してくれます。飲食店や観光スポットが描かれた特製MAPがもらえるので、滞在時にどこを巡るか相談するのもおすすめです。

◆ここでできる体験◆

・職人に弟子入り|井波を代表する木彫刻はもちろん、漆、フレグランスなど、幅広いジャンルの体験が用意されており、訪れる人の興味や感性に合わせて選べるのも魅力。ワークショップを通じて職人や作家とじっくり会話できるのはもちろん、自らの手を動かして作品を制作することで、工芸への深い理解が得られます。【料金|13,000円(2.5時間) ※10日前までに要予約】

・ギャラリーのような客室|木彫刻、漆芸、陶芸など、一棟ごとに異なる作家や職人が空間を手掛けており、客室そのものがまるで一つの作品のように仕上げられています。町家の梁や格子を残しつつ現代的な快適さを備え、伝統とモダンが響き合う特別な空間で、ギャラリーに泊まるような特別なひとときを過ごすことができます。

・作家の作品を購入できる|ショップ&ギャラリー「季ノ実」では、宿を手掛けた職人や作家の作品を展示販売。また、使用している器やアロマ、ルームウェアなど、こだわりのアイテムを販売しています。普段は土日限定で営業していますが、宿泊者限定で平日でも案内・購入が可能です。

◆その他の特徴◆

Bed and Craftは井波の町を活性化したいという目的から始まった宿のため、食事は地元の飲食店で楽しむスタイル。なお、部屋にはキッチンが付いているので、富山の食材を持ち込んで料理するのもおすすめです。ちなみに、地元の人気パン屋『baker's house KUBOTA』のパン朝食セット付きプランもあり、各宿に届けてもらえるので、朝は出かけずにゆっくりしたい方に人気なのだそう。

井波には「暮らしと工芸が地続き」という文化があります。Bed and Craftは、その精神を旅人に開くゲートのような存在。滞在を通じて、工芸が生活の中に息づいている井波の地で、ものづくりの奥深さと地元の人の温かさを感じられるでしょう。

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Bed and Craft(ベッド・アンド・クラフト)-1

Bed and Craft(ベッド・アンド・クラフト)

■Bed and Craftチェックインラウンジ
住所/富山県南砺市本町3丁目41
電話番号/0763-77-4138
チェックイン/16:00 チェックアウト/11:00
予算の目安/1棟貸切 33,000円〜(素泊まり、2名利用時)
棟数/6棟 ※各1日1組限定

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【Healthian-wood|ヘルジアンウッド】立山連峰に抱かれるハーブリトリート

◆宿の紹介◆

雄大な立山連峰を望む立山町。その麓に広がる複合施設「Healthian-wood(ヘルジアンウッド)」は、美と健康をテーマにしたリトリートの拠点です。約5ヘクタールの敷地内にはさまざまな種類のハーブが植えられており、サウナホテルやイベントスペース、アロマ工房、レストラン、スパといった各棟が点在。自然と調和し、心身を癒す滞在体験の場が整えられています。

同施設の宿泊施設は一棟貸しのサウナホテル。施設全体が半分土に埋まっているユニークな作りで、中には温度の異なる2つのサウナと開放的な水風呂、屋内にはシャワーブースや寝室、リビング、キッチンなどが設置されています。自然との一体感を存分に味わえるとあって、全国のサウナー(サウナ愛好家)が訪れるのだとか。なお、2025年12月頃には宿泊施設「Co Hive(コ・ハイブ)」もオープン予定。屋根付きのテラス&露天風呂エリアでは炉端焼きが楽しめます。

◆ここでできる体験◆

・サウナホテルでととのう|サウナプロデューサー・川田氏が設計した2種類のサウナ併設のホテル「The Hive(ザ・ハイブ)」。アロマウォーターを使ったセルフロウリュが楽しめ、2022年には「サウナシュラン」で北陸初入賞を果たすなど、全国のサウナ愛好者から高く評価されています。立山の雪解け水をかけ流しにした水風呂があり、サウナで熱を帯びた体で外に出ると清らかな風が頬を撫で、草木の香りが肺を満たす、極上のクールダウンタイムを味わえます。【料金|日帰り:2.5時間 25,000円(1棟貸切、定員2〜6名)】

 
・アロマハーブスパ&エステ「The Spa by Taroma (ザ・スパバイタロマ)」では、敷地内で収穫したラベンダーをはじめ、薬都・富山で生まれたユズやヒノキ、ヨモギを使用したオリジナルアロマブランド「Taroma(タロマ)」によるメニューを提供しています。ハーブの足湯でリラックスのスイッチを入れたら、開放感バツグンのプライベートサロンで施術を開始。室内には施術ベッドが2つあり、友人やカップルなど、ペアでの施術も可能です。【料金|45分9,900円〜】


・多様なワークショップ|敷地内の「The Workshop(ザ・ワークショップ)」では、自社製造のアロマアイテムやハーブティーを販売。ハーブやアロマの専門知識を持つスタッフによるセミナーやワークショップが開催されています。バスソルトやハーブティー、アロマフレグランスなど、さまざまなハーブクラフトが選べ、制作体験をしながらハーブについて楽しく解説してもらえるので、旅の思い出づくりに最適です。【料金|50分3,300円〜】

◆その他の特徴◆

レストランでは地元食材をふんだんに使った料理を提供。立山の清らかな水で育まれた野菜や山菜、近海の魚介など、自然と調和した色鮮やかな料理が楽しめます。
予約不要の「The Kitchen(ザ・キッチン)」ではフレンチと薬膳を掛け合わせたプレートランチを、完全予約制の「The Table(ザ・テーブル)」では、季節ごとに変化するフレンチ薬膳コースを提供。心と体が喜ぶ食体験を味わえます。

都会では味わえない、開放感に包まれる滞在。富山の豊かな自然に抱かれ、心と体を優しくととのえる特別な時間が用意されています。

■The Kitchen / The Table
富山県中新川郡立山町日中上野57-1
電話番号/076-482-2536
席数/48席 (The Tableは6名×1、4名×2の個室も利用可)

◯The Kitchen
営業時間/11:30〜15:00(L.O.14:30)
定休日/水曜(年末年始、冬季休業あり)
料金/3,300円 

◯The Table
【ランチ】
営業時間/11:30〜15:00(最終⼊店14:00)
定休⽇/⽔曜(年末年始、冬季休業あり)
料金/6,000円〜
【ディナー】
営業時間/18:00〜22:00(最終⼊店20:00)
定休⽇/⽉曜、⽕曜、⽔曜(年末年始、冬季休業あり)
料金/15,000円〜 ※税・サ別

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Healthian-wood(ヘルジアンウッド)[The Hive]-1

@KOJIHONDA

Healthian-wood(ヘルジアンウッド)[The Hive]

住所/富山県中新川郡立山町日中上野18
電話番号/070−8813−6905
チェックイン/16:00〜21:00 チェックアウト/10:00
料金/宿泊:2名 100,000円〜(1棟貸切、定員2〜6名)
客室数/1日1組限定(最大6名まで)

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【楽土庵|Rakudo-An】日本最大の散居村で、心がととのうアート・民藝満喫の旅

◆宿の紹介◆ 

「散居村(さんきょそん)」とは、田園地帯に屋敷林(方言で“カイニョ”)に囲まれた住居が点在する日本の農村形態のこと。富山県砺波平野はその代表地で、日本最大の規模を誇ります。屋敷林は冬場に立山連峰から吹き下ろす強風や雪、夏の日差しから家屋を守るという役割に加え、樹木や落ち葉は木材や薪、炭、堆肥として利用され、生活の知恵&資源として大切に手入れ、保護されてきました。

そんな散居村の一角に、築200年の伝統的な古民家「アズマダチ」を現代的にリノベーションした宿「楽土庵(Rakudo-An)」があります。客室はわずか3室の静けさとプライベート感を大切にした環境。古民家特有の重厚な梁や土壁などを残しつつも、モダンなインテリアと照明を取り入れた、伝統と革新が共鳴する空間が広がっています。

◆ここでできる体験◆

・アート・民藝|砺波地域に息づく「土徳(どとく)」と呼ばれる精神風土─富山の自然と人がともにつくり上げてきたこの土地の品格─を伝えるのがこの宿のコンセプト。館内には、「他力美」が宿る民藝・古美術から、地元の工芸作家の作品、現代アートまでがしつらえられています。注目は、それらが北欧のインテリアや中東のトライバル・ラグなどど調和している点。さまざまなエリア、時代のものたちが静かに楽土庵のなかで共存しています。

・現代の郷土料理|2025年10月にリニューアルしたレストラン『寧 nei』。「名誉唎酒師」最年少認定者としても知られる実力派シェフ・濱多氏が腕を振るう同店では、和食の技で素材の味を引き出した野菜料理や、“カイニョ”の薪で火入れした海山の幸など、富山の土徳を表現した現代の郷土料理を味わえます。

・地域の体験プログラム|地元・大門の手延べ素麺づくりや、散居村を「鳥の視点から眺める」パラグライダー、地元に伝わる和太鼓の見学・演奏体験、お寺で作務衣に着替え漢字を通して住職から仏教思想も学ぶ書道体験など、さまざまなプログラムを用意。地域の人々と交流しながら、富山に息づく知恵や文化を体感できるのも魅力です。

◆その他の特徴◆
楽土庵が目指しているのは「リジェネラティブ(再生)・ツーリズム」。訪れる方たちがこの地で癒やされ再生されると同時に、地域再生にもつながる持続可能な旅のスタイルです。宿泊代金の2%が散居村保全活動団体への寄付に充てられており、ここでの滞在が貴重な散居村の景観を次世代へと引き継ぐ一助となります。

宿で出会ったお気に入りの工芸作品を購入したり、地域文化と深くつながる体験プログラムに参加したり。楽しく滞在しながら、地域の活性化や再生に寄与できるのも魅力です。

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楽土庵|Rakudo-An-1

楽土庵|Rakudo-An

住所/富山県砺波市野村島645
電話番号/0763-77-3315
チェックイン/15:00 チェックアウト/11:00
料金の目安/43,000円〜(大人1人・1泊2食付)
客室数/3室

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【まとめ】富山の文化と空気を丸ごと「体験」する旅へ

富山の食文化を学べる「KOMBU HOUSE」。井波彫刻発祥の地で職人に弟子入りして富山のものづくりを体感できる「Bed and Craft」。立山の自然の恵みに包まれて身も心も整う「Healthian-wood」。日本最大の散居村の中で現代アートに没入できる「楽土庵」

それぞれの施設に、その場所でしか出会えない“特別な体験”があります。宿に泊まることが、そのまま学びであり、癒しであり、発見になる。
次の旅は「体験する宿」を目的地に、富山を訪れてみませんか?

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