富山湾からの春だより、シロエビ・ホタルイカ-1

富山湾からの春だより、シロエビ・ホタルイカ

富山湾では3月からホタルイカ漁、4月からシロエビ漁が解禁になり、漁港が一気に活気づきます。ホタルイカもシロエビも希少な存在だからこそ、鮮度や素材の持ち味を余すことなく堪能できる富山で味わうのがおすすめです。富山湾を代表する春の主役たちの魅力をお伝えします。

富山湾でしか獲れないからこそ、富山の風土の中で食べてほしい

シロエビは、世界中で富山湾だけに水揚げされる希少なエビで「富山湾の宝石」と呼ばれています。国内では駿河湾や相模湾にも生息していますが、漁業として成り立っているのは富山湾の岩瀬漁港と新湊漁港の2カ所のみで、限られた資源を未来に残すために漁を行うのは毎年4〜11月と定められています。
 1996年に「富山県のさかな」に選ばれ、ブランド化が進められて、全国的な知名度も高まりました。しかしそれ以前は、干しエビとしての需要がほとんどで、浜で干したシロエビを赤く染めて出荷していたという歴史も、さほど遠い過去のことではありません。

シロエビに最初に着目したのは、富山市岩瀬地区にある老舗料亭「松月」の黒田茂さん。文献を読んで富山湾のみで水揚げされることを知った茂さんは、シロエビを使ったお刺身、から揚げ、だんごを次々と考案します。その味を知った直木賞作家の高橋治氏、食通として知られた池田弥三郎氏がエッセイなどで魅力を紹介したところ、注目が集まるようになり、人気に火が点いたといいます。
シロエビの鮮度と、上品で繊細な甘み、トロリとした舌触りは富山でしか味わえません。富山湾でしか水揚げされないからこそ、富山の風土の中で食べていただきたい自慢の味です。
 

シロエビ料理の鉄則は、素材の持ち味を活かすこと

殻を剥いたシロエビはトロリとした舌触りが格別で、刺身の美味しさがシロエビを全国区に押し上げたきっかけでもあります。また殻ごと食べられるので、殻付きのまま天ぷらやかき揚げに調理されていることもあります。

  • シロエビの刺身

    シロエビの刺身

    体長がわずか6㎝ほどのシロエビの殻を丁寧に剥いた刺身は、シロエビの繊細な甘さを感じさせてくれます。生のシロエビは刺身だけでなく、鮨のネタとしても人気があります。

  • シロエビのから揚げ

    シロエビのから揚げ

    シロエビは殻が柔らかいので、そのままから揚げにしても美味。口に運ぶと香ばしい風味が広がります。身の部分も、揚げることによって甘みが強く感じられますよ。

  • 福団子

    福団子

    福団子はシロエビのおいしさを全国に広めるきっかけとなった富山市岩瀬地区にある「松月」の名物料理です。団子1つにシロエビが200匹も使われています。

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この人に聞きました-1

松原理久子さん

この人に聞きました

富山市岩瀬地区にある創業112年の老舗料亭「松月」で、給仕係をしている松原理久子さん。シロエビ料理のことを丁寧に説明してくれます。「松月」の名物「福団子」は、昼は6,000円以上、夜は7,000円以上のコースで味わえます。また夏限定で「シロエビ白玉の吸いもの」が提供されています。お店での食事は、すべてグループごとに個室を利用できますよ。

松月

透明感と輝きを間近で体験できる白えび漁観光船

新湊漁港から実際に漁師さんが沖に出る漁船に乗って、シロエビ漁を間近で見学できます。
シロエビ漁が実施されているのは新湊漁港から10分ほどの場所で、海から慎重に曳き揚げられたシロエビは、淡いピンクの透き通る身をしています。船上では漁師さんとの会話やお楽しみの試食タイムも。漁港に戻ってからは競りの様子も眺められます。

富山湾に押し寄せる、神秘的な光の正体は!!

富山湾でホタルイカが水揚げされるのは、漁が解禁になる3月からです。富山県東部にある滑川漁港が、県を代表する水揚げ地です。漁は沖合2~3キロの場所で行われており、産卵のために深海から沿岸部の海面近くに押し寄せてくる体長5~7㎝のホタルイカを、定置網で曳き揚げます。小さく繊細な体を傷けずに獲るために、滑川漁港では専用網で水揚げを行います。また競りをスピーディーに実施し、鮮度の高さを保つことも重視されています。
 

ホタルイカは網を起こすと青白い幻想的な光を放つのが特徴で、「富山湾の神秘」という異名はここに由来しています。これはホタルイカの腕の先に発光器があるからです。この神秘的な光の群れを見るためのツアーも実施されており、毎年たくさんの人が、海上観光船からホタルイカ漁の様子を眺めます。また常願寺川(じょうがんじがわ)の河口左岸から魚津港までの15km、沖合1,260m(満潮時)は「ホタルイカ群遊海面」として国指定の特別天然記念物になっています。気象条件に恵まれれば、産卵を終えたホタルイカが波によって打ち上がる「ホタルイカの身投げ」を見ることもできます。

鮮度を堪能するなら、やっぱり富山が一番‼︎

ホタルイカの刺身は、鮮度のよさがおいしさに直結しているため、富山で味わうのが一番。コリコリとした食感がたまりません。またホタルイカの酢味噌和えは、富山の食卓に春を告げる家庭料理でもあります。お店では天ぷらなど多彩な料理が提供されています。

  • ホタルイカの刺身

    ホタルイカの刺身

    ホタルイカの刺身は、鮮度が高いほどコリコリとした食感をしています。脚の刺身は地元で「竜宮そうめん」という名で珍重されており、繊細な美味しさが多くの人の心をつかんでいます。

  • ホタルイカの酢味噌和え

    ホタルイカの酢味噌和え

    茹でてぷっくりとしたホタルイカを酢味噌和えにして味わうのが、富山の家庭での定番の食べ方です。濃厚な内臓の旨味を余すことなく堪能できる郷土料理です。

  • ホタルイカの天ぷら

    ホタルイカの天ぷら

    ホタルイカは天ぷらにすることでコクや風味がさらにアップします。そのため、塩やレモンでさっぱりと味わうのがおすすめです。ぜひアツアツを頬張ってください。

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坂野弘幸さん

この人に聞きました

「ホタルイカは漁場が近く、店の窓からも定置網が見えるので、お客さんに網の場所を紹介することもあります」と話すのは、道の駅ウェーブなめりかわ内にある「パノラマレストラン光彩」で店長を務める坂野弘幸さん。季節ごとに趣向を凝らした料理を用意し、全国から訪れるホタルイカファンを満足させています。

パノラマレストラン 光彩

幻想的な光に包まれる春の風物詩「ホタルイカ漁」を間近で見学できる「滑川ほたるいか海上観光2022」

午前2時30分に滑川漁港を出発し、定置網でホタルイカ漁を行なう様子を観光船から見学します。夜明け前の海で網に入ったホタルイカは、青白い神秘的な光を放ちます。また天候不良等の理由で欠航になった場合は、ほたるいかミュージアムでホタルイカの発光ショーを見ることができます。

漁見学だけじゃない!あわせて観たい北アルプスの絶景「富山湾岸クルージング」

ホタルイカ海上観光で使用する観光遊覧船キラリンでは、神秘的な「ホタルイカ漁」を体験するだけでなく、富山湾ならではの海上からの3,000メートル級の北アルプスの絶景を楽しむことができます。滑川漁港を出港し、沖合約1〜1.2㎞の場所から早月川、上市川の各河口付近を目指す2つのルートが用意されています。
「世界で最も美しい湾クラブ」に登録されている富山湾は、海上からの景色も格別。雄大な北アルプスとともに、能登半島から新潟県沖までの富山湾を一望しましょう。

ほかの季節も旬が愉しめます 四季のとやま魚介カレンダー

海と町の距離が近く、定置網漁業が主流の富山では、早朝に水揚げされた新鮮な魚が、夕方には「朝獲れ」のシールを付けられてスーパーに並びます。1年中どのシーズンに来ても、おいしさ自慢の富山の魚を食べることができます。

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