【新湊・内川】港町の夜を楽しむ。夕日と夜景、隠れ家バー、夜まで開く美容院

  • 「中新橋」から見た内川の夕日(2025年7月19日)

    「中新橋」から見た内川の夕日(2025年7月19日)

  • オレンジ色の優しい光に照らされる夜の内川沿い(2025年8月27日)

    オレンジ色の優しい光に照らされる夜の内川沿い(2025年8月27日)

「仕事終わりにちょっと息抜きしたい」「いつもとちがった夜を味わいたい」。
毎日忙しく過ごす中で、そんな気持ちを抱くことはありませんか。
今回は、射水市新湊(いみずし しんみなと)・内川で過ごすおすすめの夜時間をご紹介します。
水面に反射する綺麗な夕日、夜景、隠れ家バー、お酒が飲める美容院。ゆったりとした時間が流れる港町で、夜の楽しみを見つけてみましょう。

橋から夕日を眺めよう

富山市中心部から車で約40分。無料駐車場がある「川の駅 新湊」に車を停め、カメラを片手に散策を始めました。
かつて北前船の中継地として栄えた内川。運河沿いには、12本の橋が架かっています。日が暮れ始めると、ランニング中の人や地元の中学生、カメラを持った観光客たちが橋に集まってきました。

「ほら、これ見て。昨日の夕日、すごく赤くてきれいやろ?」
川沿いに住んでいるというおばあちゃんが、スマートフォンの写真を見せながら話しかけてくれました。毎日、橋から夕日を眺めることが、日々の楽しみだと言います。
青、ピンク、オレンジ、赤、紫のグラデーション。昼から夜へ、一刻一刻と表情を変えていきます。
筆者も夕日が大好きで、県内のさまざまな場所へ足を運びますが、内川から眺める夕日は特別です。どの橋から見る景色がいちばん好きか、自分だけのお気に入りスポットを探してみるのも楽しいかもしれません。

ベンチでゆったり内川時間

内川沿いには、いたるところにベンチがあります。ゆっくりとベンチで過ごしている地元の方がすてきだなと思い、私も座ってみることにしました。
足元の先には、すぐ水が流れています。ゆらゆらと揺れ動く水面、オレンジ色のライト。あまりに心地がよくてぼーっとしていると、寝落ちしてしまいました。
このベンチで誰かと並んで座り、日が暮れるまでいろいろなことを語り合うのも楽しそうです。

13番目の架け橋「Bridge Bar」

通称「手の橋」と呼ばれる山王橋のそばに佇むオーセンティックバー「Bridge Bar」。
店内には90~100種類ほどのアメリカンウイスキーが並んでおり、味わいや香りなどの特徴がていねいに手書きされたメニューから、好みの一杯を選ぶことができます。

定番は、ネオンのように鮮やかなオリジナルカクテル「内川ブルー」。
そのほかにもオリジナルカクテルが5種類ほどあり、季節ごとに年4回ほどメニューが更新されます。

店内はカウンター席のほか、ソファ席やテーブル席、川を望める中二階があります。少人数から大人数まで、その時の雰囲気に合わせて席を選ぶことができるのも魅力の一つです。

特徴的なのは、ノンアルコールカクテルへのこだわりです。
マネージャーの藤井宏祈(ふじい・あつき)さんは「お酒が飲めない方にとっても豊富な選択肢があって、気軽に楽しめるお店を目指しています」と語ります。常連客の中には、5~6年ほど通いながら、一度もお酒を飲んだことがない人もいるそうです。
筆者もこの日は車で訪れていたため、2種類の本格的なノンアルカクテルをいただきました。お花の香りや繊細な味わいを楽しむことができ、お酒を飲まなくても大満足です。

バーテンダーの藤井さんは、愛知県出身。東京のレストランで修行していた頃、ともにBridge Barを立ち上げた前オーナー、ナイト・スティーブンさんと出会いました。21歳の時にスティーブンさんとともに富山へ移住し、2018年12月にお店をオープン。古民家の改装や地元の人々への挨拶回りなど、二人三脚でお店の歴史を一から築いてきました。

2025年1月、スティーブンさんが急性心筋梗塞のため永眠。突然の出来事で、お店は3月中旬まで臨時休業していましたが、「彼が本当に大切にしてきたお店だからこそ、皆さまにとって変わらない温かい場所であり続けたい」との思いで再スタート。藤井さんがオーナーを引き継ぎました。
 
スティーブンさんが何より大切にしていたというのは「内川という地域へのリスペクトと感謝の気持ち」。その思いはお店の根幹の価値観として、藤井さんが守り続けています。藤井さんは「ご飯を食べたあとにふらっと寄ったり、散歩や散策をしたり。この場所でゆっくりとした時間を過ごす価値を、感じてもらえたら」と話してくれました。

内川への思いが込められたバーで、自分自身や大切な誰かとの時間を静かに楽しむ夜は、この街ならではの贅沢です。

夜まで開いている美容院。お酒も飲める?


​​午後10:30ごろ、新西橋の近くに一軒だけ優しい光を灯す古民家がありました。夜まで開いている美容院「髪と髪の毛の357日」。店内に入ると、ふわっと甘い香りがします。にこにこの笑顔が特徴のオーナー、経澤卓哉(つねざわ・たくや)さんが出迎えてくれました。
店には学生から80代までの幅広い世代が通い、経澤さんが一人で切り盛りしています。夜遅くまで営業していることが特徴で、営業時間は平日14:00~23:00、土・祝10:00~22:00。仕事終わりに髪の毛を整えられる場所は、なかなか珍しいです。
経澤さんは美容師と理容師のダブルライセンスを持っています。髪の毛のカットだけでなく、男女問わず顔剃りのメニューも人気です。

「内川の夜の景観を楽しんでほしい」との思いから、カットメニューを頼んだ人にビールを提供するサービスを始めました。ビールは「アサヒスーパードライ」とドイツの白ビール「エッティンガーヴァイス」の2種類。泡がクリーミーになるよう、注ぎ方にもこだわっています。
なんと、お酒の持ち込みも自由!徒歩圏内の人の中には、スーパーで缶のお酒を買ってくる人や、水筒に焼酎を入れて持ってくる人も。誰かに運転をお願いして来る人もいるそうです。お酒を飲んでリラックスしながら髪の毛を整えてもらうのは、まさに至福のひとときです。

店内には、経澤さんが趣味で昔から集めていたドライフラワーがあちこちに飾られています。築60年以上の歴史がある温かい空間は、まるで家で過ごしているような感覚になります。「喋りたくなかったら喋らなくていいし、ドラマに夢中になったり、勉強したりしてもいい。家みたいにリラックスしてほしい」と経澤さんは語ります。

経澤さんは富山市出身で、神奈川県で修行を積みました。独立する場所を探していた際、内川に惚れ込み、移住を決意しました。内川の魅力について「昼と夜の顔が違うので、日が暮れてから夜にかけての表情の変化を楽しんでほしい」と笑顔で話してくれました。

地元店主おすすめのグルメ

「おすすめの場所はありますか?」と、Bridge Barの藤井さん、髪と髪の毛の357日の経澤さんに尋ねると、二人から同じ答えが返ってきました。

まずひとつは、イタリアンレストラン「バルツェル・ラボ」。富山の四季を感じられる創作料理が楽しめます。筆者も二度訪れたことがありますが、一皿一皿のていねいさに感動しました。

もうひとつは、ビストロ「喰べものや 世楽美(せらび)」。お肉やお魚のメニューに加え、ワインやカクテルも楽しめるアットホームなビストロです。
 

まとめ

都会のきらびやかな夜とはすこし違う、港町ならではのゆったりとした時間。
内川の夕暮れや夜景、隠れ家バー、夜の美容院、そして地元の人たちとの出会いを楽しみながら、ぜひ自分だけの特別な夜を味わってみてください。
 

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