富山県内最大の歓楽街「富山市桜木町」グルメとナイトスポットを探検【ジモメシ放浪記5】

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富山県内最大の歓楽街と言えば、富山市の桜木町である。夜が更けると、同町の雑居ビルには色めいたスナックや食事処の看板が点灯し、往来する人に華やかで艶やかな印象を与え、遊びへの開放的な気分を引き出す。そのナイトスポットで「ジモメシ」に舌鼓を打ち、はしご酒を楽しんだ地元民のある一日をここに記していく。

人生の糧を得る歓楽街・富山市桜木町

桜木町がなければ、人生の糧は得られなかった。
成人になってから幾度も足を運んでは、ただでさえ薄い財布をぺしゃんこになるまで散財し、飲み食べ歌い遊んだ富山県内最大の歓楽街。この社交エリアを介し、知人や取引先との親ぼくを深め、人脈を広げて新たな仕事を増やすきっかけになった。酒で失敗した経験も多々あるが、それでも愛して止まない場所、それが桜木町である。
そのエリアの記事を書こうと思案していたところ、
「ジモメシ放浪記いつも読んどるよ。今度おらっちゃも(富山弁で自分達の意味)連れてってま(連れて行ってよ)!」
タイミング良く、とある青年経済団体でお世話になった先輩から久しぶりに電話があった。
「良いっすよ!ちょうど桜木町で記事書こうと思っていたところなんです。じゃあ、先輩おすすめの店を何件か巡る、っていうのでどうですか?」
「おっ!いいねえ。じゃあ何人か誘ってやらんまいけ(やりましょう)!」
「承知しました!」
あっさりと話がまとまり、それからほどなく桜木町探検の5人パーティが編成された。オレはロールプレイングゲームのダンジョンを突き進むようなワクワクドキドキした気持ちを胸に、老舗居酒屋ののれんをくぐった。

富山湾きときとの海の幸を堪能「魚処やつはし」

まず初めに訪れたのは「魚処やつはし」。30年に渡り営業している居酒屋で、店主の松井覚さんが2代目として切り盛りしている。富山湾の新鮮な魚を味わえると評判のお店だ。店内には、10席ほどのカウンター席と奥に座敷席がある。県外の方には魚をさばく様子が見られるカウンター席をおすすめしたい。
座敷に通されて先輩と合流し、久しぶりの再会を祝してビールを一杯ひっかけていると、付き出しが運ばれてきた。

付き出しは、冬の味覚の代名詞ブリ大根。この品を最初に持ってくるところに、魚で売っている店のプライドを感じる。ブリを箸でつまむと、ほろほろと崩れ落ちる柔らかさ。煮込まれた大根にはブリのうま味が存分に染みわたっており、甘辛い味付けにビールがどんどん進んでいった。

次に現れたのは刺し身の盛り合わせ。この日は富山市四方(よかた)港で獲れたヒラメ、サワラ、タラの子付け、ホタルイカ。それに富山市岩瀬港の甘エビ、氷見(ひみ)市氷見港のブリ、射水(いみず)市新湊(しんみなと)港のバイとバイの肝が盛りつけられている。富山湾のきときと(新鮮)な旬魚が勢ぞろいし、キラキラとまばゆい光を放っているかのような豪華絢爛(ごうかけんらん)な一皿に心がときめく。
ちょうどホタルイカ漁の解禁日だったので、初物をいただく。つるりとしたぷりぷりの食感。噛むほどに染みだす甘み。今年の春の訪れを口で感じ取った。

タラの子付け、バイの肝といった酒飲みの刺身に夢中になっていると、いつの間にか甘エビが消えていた。どうやら、甘エビに目がない先輩がほとんどを平らげたらしい。
「先輩、甘エビ大好きなんすね。子持ちの量半端なかったですもんね」
「ごめんごめん、また頼もうよ」
(…オレも食べたかったんに。いやいや、先輩の前ではそんなこと決して言えないや)
作り笑いを浮かべながら箸を動かす。

白エビのから揚げは、富山の居酒屋の定番メニューとなっているが、外はカリカリで中はじゅわっとした食べ応えと、いつにも増して白エビそのものにみずみずしさを感じる。

白子の昆布焼きは、濃厚な白子と昆布の風味が見事に調和しており、酒の量と濃度を増大させていく。プリン体値が激高で、痛風持ちには良くないと分かっていても止められない。明日から運動と水分補給頑張ろう、と何度目かの決意を新たにした。

ゲンゲのから揚げは、から揚げなのにぷるぷるとした不思議な食感が面白い。出来立て熱々をほおばると、ほくほく、ほわほわの瞬間を堪能できる。やけどに気を付けなければ口内が大変な事態となるが、熱っ、熱っと言いながら食すのもまた一興だ。

最後に、2合はあるのではないかと思うほどの大きさの、まん丸に握られたおにぎりをかぶりつく。つやつやとした富山県産米は、やはり旨い。富山に生まれて良かったと改めて感じ、心もお腹も満たされて店を後にした。

おもてなしに酔いしれるスナック「ベル」

桜木町探検、次のダンジョンは先輩行きつけのスナック「ベル」。カウンターとボックス席のある店内は、落ち着いた雰囲気の内装。従業員の年齢層は若めで、5人程度が常時在籍し、お客を楽しませ交流をさらに深めるためのおもてなしをしてくれる店だ。
ボックス席に座って従業員と世間話をしながらお酒を作ってもらい、二次会開始の杯を挙げる。接遇してもらった従業員は20代前半。Z世代と就職氷河期世代は話が合うのかと少し危惧したが、オレより上のバブル世代の先輩たちが放つ「不適切にもほどがある」発言を笑いながらやんわりと受け流しつつ、場を盛り上げる話で返していたので安心した。

気付けば楽しくなっていたオレはカラオケを入れ、従業員に
「映画スラムダンクの曲の『第ゼロ感』さ、今度会合で歌わんならんから、練習聞いてもらえんけ」
と要求。歌い終わった後に
「わあー、マジ上手いねぇ!10-Feetのタクマここにおるんかと思った!」
とお褒めの言葉をもらい有頂天に。
そんなチヤホヤされるオレを見た先輩が、
「なーん、若い人の歌分からんわ。曲も速いしよお。もっと昔のやつ歌えま」
と若干不満げな表情でぼやく様子に、オレは心の中でガッツポーズを作り、最高の気分のまま店を出た。

探検の締めは「金泉」のブラックラーメンで

桜木町探検の締めは、やはり麺類に限る。最後に訪れたのは「金泉横丁」。この店は「金泉」、「金泉別館」、「銀泉」、「銅泉」と同じ敷地内に4店舗あり、どの店でも同じメニューが味わえる。居酒屋としても評判がすこぶる高い人気店であるが、あえて王道を外し、一日を終える飲兵衛最後の楽園としてここに決めたのだ。
三度目の乾杯をし、漬物をつまみながらお望みの一品が来るのを待つ。

待っていたのは、金泉特製の富山ブラックラーメンだ。
茶色みがかった醤油ベースのスープに、ザクザクに切った太めのネギ。慣れ親しんだこの様相に、分厚い自家製チャーシューと味付け卵がちらりと姿をのぞかせる。黒コショウを振るい、スープに麺とネギを絡ませ、ずるずると音を立ててすする。
富山ブラックの風味が口の中を駆け抜けていく。ブラックは塩辛いのが特徴であるが、このラーメンは程よい塩梅で、スープのうま味も感じ取れる。加えて、肉厚チャーシューの歯ごたえとあふれ出す肉汁がたまらない。味付け卵がアクセントとなって口の中をマイルドにし、さらに、さらにと麺を口に運んでしまう。
締めもきっちりと食べ終えて、先輩たちと巡る桜木町クエストはエンディングを迎えた。

親ぼくがさらに深まる街・桜木町

「次はよお、いたち川沿いでやろうぜ。あそこにも渋くていい店いっぱいあんねよ(あるよね)!」
「この飲み会、続く感じですか?」
「当り前よ!これからもジモメシを楽しんでいかんまい(行こうよ)!」
「はい、承知しました!」
桜木町は親ぼくが深まる場だと、改めて実感した。しばらく音信不通だった先輩とも、今回の件がきっかけで、今後は「ジモメシ放浪記協力取材」という名の飲み会が開かれそうだ。

グルメも社交も楽しめる富山県最大の歓楽街。ここで起きる喜怒哀楽な出来事は、自分自身の人生の経験値をさらに上げていく。

Column

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