【うみとやま】港町で育った地元民に聞く紅ズワイガニの上手な食べ方-1

港町で育った地元民に聞く
紅ズワイガニの上手な食べ方

今が旬の紅ズワイガニを食べに、富山を訪れてみませんか。地元で定番の食べ方は、沸騰した湯に塩を加えて茹でた「茹でガニ」です。新湊漁港そばの「新湊かに小屋」では、そんな地元ならではの食べ方を体験できます。

ハサミとカニフォーク、お箸を使って、美味しさを余すことなく食べ尽くす方法を「新湊かに小屋」で教わってきました。富山を訪れる前に、ぜひチェックしてくださいね。

新湊漁港そばの「新湊かに小屋」で、地元在住のみなさんに聞きました


新湊漁港から歩いて2分の場所に、茹でたての紅ズワイガニを丸ごと1杯の姿で提供する「新湊かに小屋」があります。ここで働くのは、地元の水産加工会社「鷲北水産加工」でかにを茹で続けて40年というベテランの職人さんや、新湊の浜育ちのパワフルなお母さんたち。「カニは子どものころから夕飯前におやつで食べていたの。身を出すのも1杯1分もかからずにできるわよ」と、スタッフの作道(つくりみち)さん。地元の人たちにとって、茹でガニは温かいのが当たり前だそうで「ジューシーなカニのエキスも、温かいほうが美味しいの」と話します。

「昼セリ」で仕入れた、新湊の新鮮な紅ズワイガニを提供

新湊の紅ズワイガニは漁場が近く、漁港ではカニを積んだ漁船が戻る時間に合わせて午後12時30分から「昼セリ」をしています。鮮度が高いときに競りにかけられ、すぐに市場に出回ることが美味しさの秘訣です。漁場の近さは富山湾特有の地形にわけがあり、大陸棚が狭くて岸辺からすぐに海が深くなっているため、紅ズワイガニの生息地までの往復に長い時間がかかりません。夜中の12時に出向した漁船が、午前11時すぎには浜に戻り、漁師たちはすぐに競りの準備に取りかかります。12時半から競りが始まり、「新湊かに小屋」には、競り落とされたばかりの新鮮な紅ズワイガニが運ばれてきます。

紅ズワイガニは腹を上にした状態で食べるのが常識

紅ズワイガニは腹を上にして提供されます。実は漁港で競りにかけられているときから、ずっと仰向けの体勢を保ったまま。理由は甲羅の中に旨味がたっぷりと詰まっているからで、そのエキスを一滴も逃さないために、茹でるときも仰向けの姿をキープしています。


殻から身を出すための最初の作業は、甲羅と脚を切り離すこと。腹の手前側にある「ふんどし」と呼ばれる部分を外したら両手でカニの両脚を握って、一気に内側に折ります。そのまま片側ずつ甲羅から脚を外しましょう。このときに脚に残った味噌や身をカニフォークで掻き出して甲羅の中に入れてください。

スジを切らないようにして、スッーと身を抜く

ジューシーなカニの身を堪能したいなら、脚から身を外す作業を失敗してはいけません。まず脚の付け根の横にある関節から1㎝ほど外側をハサミで切り離します。次に同じ脚の関節から内側に向かって1㎝ほどの場所を手で縦方向に折ります。右手を軸にして殻からそっと身を抜き取るようにしましょう。脚に詰まった身がそのままの形で出てきます。注意点は、脚の中にある透明で細いスジを切らないこと。スジが切れてしまうと身が抜けなくなり、ハサミで殻を切り開かなくてはいけなくなります。

爪の部分が、甘みや食感が最も強くて美味

爪の部分は、厨房に立つ酒井さんが「ここが一番美味しい」と話す部分です。ほかの脚と同じように切り離したら、カニの爪がハサミになっている部分の動かない方の爪の付け根にハサミで切り込みを入れて手前に180度回転させてください。2本の爪を揃えるように持ったら、殻を手前に引くようにして割りましょう。大きな身が出てきます。口に運ぶと、ほかの脚に比べて甘みや食感が強く感じられるはずです。


片側の脚を食べ終えたら、脚の付け根にあるエラ(ビロビロになった部分)をハサミで切り、殻を手で割って隠れている身や味噌を甲羅に入れてください。

甲羅に詰まった味噌とエキスを、食べ逃すことのないように

もう一方の脚は、カニ味噌エキスに浸しながら食べるのもおすすめです。紅ズワイガニの甲羅には濃厚なカニ味噌がたっぷりと入っているので、それと一緒にカニ身を味わえば、先ほどより味の深みが一層増します。そして甲羅に残ったエキスは、飲み干したくなるほどの美味しさが楽しめます。茹でるときの程よい塩加減、カニ身とカニ味噌のおいしさ溶け合って格別です。




今回は初心者にも実践しやすい、簡単な食べ方を紹介しました。新湊では5月末まで紅ズワイガニの水揚げが続きますので、富山で「茹でガニ」を食べるときの参考にしてくださいね。

昼セリ見学と新湊かに小屋で味わう高志の紅ガニプランの体験記事はこちら

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