伝統と進化が織りなす、となみ野の夜を彩る「夜高まつり」 を支える
砺波夜高振興会 堀田隆さん-1

伝統と進化が織りなす、となみ野の夜を彩る「夜高まつり」 を支える
砺波夜高振興会 堀田隆さん


砺波(となみ)平野の初夏を彩る風物詩「夜高(よたか)まつり」。赤々と輝く巨大な行燈(あんどん)が夜空を照らし、若者たちの熱気と共に街を練り歩きます。

この伝統ある祭りを守り、さらに発展させるため尽力する砺波夜高振興会会長 堀田隆(ほりたたかし)さんに、祭りへの想いや見どころを伺いました。

 

となみ野に紡がれる夜高まつり


富山県西部に位置する砺波市は、散居村(さんきょそん)で有名な砺波平野の中心に広がる自然豊かな地域です。この地域を含むとなみ野(砺波市・小矢部市・南砺市)では、福野・砺波・庄川・津沢の4つの地区で毎年春から初夏にかけて「夜高まつり」が開催されます。

「夜高まつりは砺波平野の春を代表する風物詩であり、地域の絆を深める大切な祭りとなっています」と堀田さんは話します。

最も古い福野の夜高は、300年以上前に伊勢神宮の御分霊を迎える際に行燈を掲げたことに由来します。それぞれの地区の夜高まつりには個性があり、地域ごとの特色を楽しめるのが魅力です。砺波の夜高まつりは、毎年6月に開催される伝統行事として定着しています。

 

幼少期から育まれた祭りへの愛着


堀田さんは砺波市出町の出身で、幼い頃から夜高まつりに親しんできました。「子どもの頃は小さな行燈を担いで地域を回り、お小遣いをもらったことを今でも覚えています」と微笑みながら振り返ります。

中学生の時に一度、夜高まつりへの中学生以下の参加が禁止されたことがありましたが、仲間と独自に小さな行燈を作り、地域を回った経験も祭りへの愛着を深めたといいます。「若い世代が地域の祭りに関わることで、仲間づくりや地域とのつながりが生まれる。それこそが夜高まつりの本質的な価値だと思います」と語ります。

 

伝統を守り、進化を受け入れる


夜高行燈の最大の魅力はその迫力と華やかさにあります。砺波の行燈は高さ5〜6メートル、幅2~2.5メートルで、大きな行燈が街を練り歩く様子は圧巻です。近年は、技術の進歩と共に制作方法や素材も進化しています。

「行燈の赤色は伝統を表すポイントで、ろうそくの灯りに由来しています。最近はLEDが導入され、より鮮やかな色彩表現が可能になりました。伝統を守りつつ、新しい要素を柔軟に取り入れることで、魅力がさらに高まると感じています。最も重要なのは、制作に携わる人々が楽しんでいることです。それが祭りの活力に繋がりますからね」


 

「五感で感じる祭り」美しさと熱気が醸す夜

堀田さんは、砺波の夜高まつりの見どころとして行燈のデザインに注目してほしいと話します。

「祭り当日の行燈の美しさは、準備の苦労があってこそのものです。地域の職人たちが手間を惜しまず制作した細やかな模様や色彩のバランスは圧巻です。マニアックな話をすると、行燈の縄の巻き方にも注目してほしいですね」

 


砺波の夜高まつりといえば、行燈同士が夜更けにぶつかり合う“突き合わせ”も大きな見どころです。「引き手たちの熱気や一体感も感じていただきたい。突き合わせの衝撃音が轟き、地面が揺れる迫力のシーンを、ぜひ五感で感じてほしいです」と堀田さんは熱く語ります。
 

担い手不足を乗り越え、未来へ伝える絆


夜高まつりを未来に紡いでいくには、もちろん課題もあります。少子化による担い手不足や安全管理の重要性が年々増しています。

「夜高は、地域の伝統と人々の絆を象徴する大事なお祭りです。昔から地域の青年が中心になって制作し、引っ張り、守り続けてきたものです。伝統を守るには全員で協力して『夜高は自分たちのものだ』という意識を一人ひとりが持つことが大切だと思います」
 


「伝統と進化」をキーワードに、祭りの発展を見守ってきた堀田さん。「これからも若い世代に祭りの魅力を伝え、地域の絆を深めていきたいです。夜高まつりが、地域の誇りとしてこれからも続いていくことを願っています」
 

砺波の魅力を存分に味わう、特別な日


夜高まつりに訪れる皆さんに向けて「夜高行燈の鮮やかさと、若者たちの元気な姿を楽しんでください。ぜひルールを守り、安全に祭りを楽しんでいただきたいです」と堀田さん。

「この季節ならではの田んぼに水が張られた夕暮れの散居村の美しい田園風景も併せてご覧いただき、となみ野地域の魅力を深く感じてもらいたいです。となみ散居村ミュージアムや、チューリップ四季彩館、頼成(らんじょう)の森 花しょうぶ祭りなどの観光スポットもおすすめです」と祭り前の立ち寄りスポットについても熱く語ります。


夜高まつりは、となみ野の魅力を存分に感じられる特別な体験となるはずです。伝統と進化の調和を守り続ける堀田さんの想いが、これからも祭りを通じて地域に受け継がれていくことでしょう。

この記事を見た人はこんな記事を見ています