
絶景とおもてなしで最高の「ととのう」を
碓井一平さん、綾さん
「TATEYAMA SAUNA」と「貸別荘どんぐり」は、立山山麓のふもとにある吉峰地区にあります。立山黒部アルペンルートの玄関口である「立山駅」や落差日本一を誇る「称名滝」の入り口にあたるエリアでもあり、周辺にはゴルフ場や温泉、キャンプ場など自然を満喫できるレジャー施設が集まっています。
碓井一平(いっぺい)さんと綾(あや)さんのご夫婦は、この地で「TATEYAMA SAUNA」と「貸別荘どんぐり」を運営しています。おもてなしや大切していることを教えてもらいました。
絶好のロケーションを生かす
貸別荘どんぐりに併設される「TATEYAMA SAUNA(以下、立山サウナ)」は、吉峰地区の高台に位置しています。富山平野を一望できる絶景と、2人のこだわりが詰まったサウナ室が魅力の施設です。
誕生のきっかけはコロナ禍で宿泊客が減少したことだったと一平さんは話します。「どんぐりの客足が止まって新しい仕掛けが必要だと感じていたころに、ブームになりはじめていたアウトドアサウナの存在を知りました。すぐに県外の施設へと視察に行きました」と当時を振り返ります。視察では学びとともに、高台ならではのロケーションや豊かな自然、水を活かせると確信。立山サウナの開設を決心し、2021年冬にプライベートサウナ「TATEYAMA SAUNA」をオープンしました。
「まるごと立山」をコンセプトにしたユニークなサウナ室は、立山杉を使って作られています。サウナ室内には、立山連峰の雄山、大汝山(おおなんじやま)、剣岳(つるぎだけ)などの山々をモチーフにした、高低のさまざまなベンチが並びます。富山産のサウナストーンと薪ストーブを使った本格フィンランド式サウナを備え、利用者は座るベンチの高さによって異なる温度を楽しむことができます。
サウナ室の取っ手は、地元の常願寺川で拾った流木を加工したものです。入り口には「登山道」の看板が設置され、立山の山岳風景を思わせる遊び心満載の空間となっています。
TATEYAMA SAUNA
住所|立山町吉峰野開21-6
電話|090-9443-7819
営業時間|11:00~16:30
定休日|水曜日
料金|【日帰り】平日12,000円~ 休日16,000円~
※休日料金は土・日・祝
※宿泊プランもあり
開放的なログハウス
立山サウナができる前からある「貸別荘どんぐり」は、もともとは一平さんの親族が所有していた物件でした。「せっかく温かみのある空間だったので、何かに活かしたかった」と利活用を考えていたところ、民泊新法の法改正があり、宿泊施設として利用することを決め、2018年秋に営業を開始しました。
ログハウスらしい木を使った開放的な空間は、非日常を味わえる場所として人気になりました。「キッズスペースや屋外遊具もあったので、コロナ禍までは、県内の家族連れにご利用いただくことが多かったです。コロナ禍を経て立山サウナができてからは、友人同士や、企業のワーケーション利用などの利用率が大幅に増えました」と綾さんは話します。
貸別荘どんぐり
住所|立山町吉峰野開21-6
電話|090-9443-7819
営業時間|お電話の対応は11:00~19:00
定休日|不定休
料金|日~木25,000円 金・土・祝前日 35,000円 連休・ハイシーズン 45,000円
※チェックインは17時以降、チェックアウトは10時まで
2人流のおもてなし
立山サウナには、サウナ好きを中心に県外から多くの人が訪れるそうです。現場の責任者として営業を切り盛りする綾さんは、「プライベートな空間だからこそ意識していることがある」と話します。
「友人や家族などプライベートな仲間たちとサウナを楽しみにしていることが多いので、接客のタイミングなどは意識しています」といいます。一方でおすすめの観光地やご飯屋さんなどを聞かれた際には、要望に応じた場所をリストアップするなど、丁寧に対応することも忘れません。お客さんの好みに合わせてサウナ室内の温度や湿度を調整するのも、プライベートサウナならではの対応です。
立山サウナのオープンを主導した一平さんも、「オープン時から、スタッフが自発的におもてなしに取り組めるよう、スタッフたちにはいろいろな決め事の裁量を与えています。1組だけのお客さんだからこそ、お客さんたちが今何を望んでいるのか気にかけながら接客に努めています」と話します。
震災の影響
2024年1月の能登半島地震では、サウナ室内の石壁が剝がれるなどの被害がありました。しかし、それ以上に地震による観光客離れは深刻だったと言います。「県外のお客さんが多かったこともあり、地震直後からキャンセルが相次ぎました。2月頃までは県外のお客さんの利用はわずかでした」と綾さん。
しばらくは苦しい時間を過ごしましたが、もともと立山サウナの人気を支えていた口コミの影響もあってか、次第に客足は回復していきました。
オンリーワンの体験を
「吉峰地区は自然が豊かながら都市部からも近く、レジャー施設にも恵まれています。新しいお店などが増えれば、もっと楽しくなるはずだし、そのポテンシャルもあるはず。吉峰地区全体が盛り上がればうれしいですね」と一平さん。
今後の抱負として、「多くの人にこの絶景を楽しんでもらいたい」と2人は語ります。日本には素晴らしいサウナ施設がたくさんあります。その中で、訪れた人々に「来てよかった」と感じてもらえるような場所を作ろうと、ホスピタリティを大切にし、訪れる人々に素敵な「ととのう」と「思い出」を提供したいと話します。2人のおもてなしはこれからも続きます。