「勝興寺」を訪ねる(高岡市)-1

「勝興寺」を訪ねる(高岡市)

国宝指定の答申を受けている「勝興寺」は、越中における浄土真宗の触頭(ふれがしら)で、本山に準じる連枝寺院にあるいは別院格としては破格の規模と形式を誇ります。本堂、大広間、式台が、2022年10月に国宝指定の答申を受けました。江戸時代後期に建てられた本堂は、本願寺阿弥陀堂を規範とし、本願寺の宮大工によって図面が引かれています。1998年から23年かけて実施された「平成の大修理」によって、本堂や大広間、式台をはじめとする12の建造物が、江戸後期の姿を蘇らせました。

本堂、大広間、式台が、国宝の指定を受ける

越中国府が置かれたとされる地にある「勝興寺」の本堂、大広間及び式台が、2022年10月に国宝指定の答申を受けました。「勝興寺」は浄土真宗本願寺派の寺院で、本願寺を支える連枝(れんし)寺院のひとつです。蓮如上人が開いた「土山御坊」が始まりで、寺号は順徳天皇の勅願寺「殊勝誓願興行寺(しゅしょうせいがんこうぎょうじ)」を再興・相続したことに由来します。江戸時代には、加賀前田家の11代当主である治脩(はるなが)が10~23歳のときに住職を務めています。

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拝観説明について

詳しい説明を聞きながら拝観したい人には、音声ガイド案内を貸し出しています(500円)。また、観光ボランティアガイドは事前申し込みが必要です。ガイド1人につき1時間1,000円。

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「勝興寺」へのアクセス方法

●高岡まで鉄道を利用する場合

北陸新幹線「新高岡駅」から、加越能バスに乗車し「伏木駅前」バス停で下車して、徒歩約7分。
あいの風とやま鉄道「高岡駅」から、加越能バスに乗車し「伏木駅前」バス停で下車して、徒歩約7分。
JR氷見線「伏木駅」から徒歩約7分。

●車を利用する場合

能越自動車道「高岡北IC」から車で約20分。
※駐車場は無料

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高岡ワイドフリーきっぷ

中心市街地に加えて、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「吉久」、万葉集の「高岡市万葉歴史館」をはじめとした伏木地区および富山湾越の立山連峰を望むことができる絶景の雨晴海岸まで足を延ばすことができる路線バスと、路面電車「万葉線」が1日乗り放題(以下の区間に限定)の切符です。

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江戸時代後期を代表する、大型寺院本堂

「勝興寺」の本堂は、江戸時代後期を代表する大型の本堂です。国宝指定の理由は、住職を務めた前田治脩(はるなが)が還俗した際に、本堂の建て替えを次の住職に依頼して加賀藩から大きな資金援助をしたこと、当時拡大していた浄土真宗の門徒に対して本願寺から寄進を促したことなど、さまざまな歴史的背景が評価されたからです。建築には本願寺の宮大工が建築に関わっていて、手挾(たばさみ)や木鼻の装飾彫刻も見応えがあります。

対面所を持つ大広間

大広間及び式台も、本堂と同時に国宝指定を受けました。大広間には、格式の高い浄土真宗の対面所があります。国宝指定の理由は「勝興寺」の発展にともなって、拡張整備が行われた過程を色濃く残していることが評価されたからです。現在、大広間の畳が敷かれている部分はかつて2列でしたが、門徒の増加と寺院規模の拡大により、後になって広間は3列に整備されました。鮮やかな桐と菊が配置された襖(ふすま)は、もともとあった襖紙を外したところ、数枚下にあった襖紙がこの色柄だったことから再現されたものです。

10棟の重要文化財も、江戸後期の姿を再現

国宝に指定された本堂と大広間及び式台とともに、重要文化財10棟も保存修理が行われました。復元前は多くの建物が瓦葺き屋根でしたが、総門が瓦なのを除き、唐門(からもん)が檜皮葺(ひわだぶき)、そのほかは柿葺(こけらぶき)になりました。台所に床の上から使う特殊な井戸があったり、廊下脇に治脩(はるなが)が乗ってきた籠が置かれていたりと見どころが豊富にあります。伽藍(がらん)の建築物を巡っていると、住宅建築としての質の高さにも気づくことでしょう。

境内の”七不思議”を巡ろう

「勝興寺」には”七不思議”があります。かつて門徒が考えたと言われていますが、いつごろから存在するのかは分かっていません。唐門(からもん)を入るとすぐにあるのが「天から降った石」です。そばに置かれた小石で叩くと金属のような音がします。ほかにも「実ならずの銀杏」「水の枯れない池」「屋根を支える魔除けの柱」「雲龍の硯(すずり)」「三葉の松」「四隅を守る天の邪鬼(じゃき)」があります。写真とあわせて紹介しているので、写真をスライドさせてチェックを。ぜひ訪れた際には、探してみてくださいね。

●天から降った石:かつて近くの国分浜にあった石は、夜な夜なすすり泣いていました。「勝興寺」の伽藍に運び入れたところ、泣き止んだと言われています。
●屋根を守る邪鬼:本堂の四隅の柱上部にある彫刻で、本堂前側2体は両手、後ろ側2体は片手で屋根を支えています。魔除けの意味を持っています。
●水の枯れない池:本堂で火災が起きたときすぐ消火できるように、経堂に彫られた龍が、水が枯れないように見守っていると言われています。
●実ならずの銀杏:木から子供が落ちたり、実を奪い合う喧嘩が起きたりすることから、住職がお経をあげると翌年から実を付けなくなったと言われています。
●三葉の松:本堂の北側にある松の木は、一般的な二葉松ではなく3枚の葉をつけています。
●雲龍の硯:浄土真宗中興の祖といわれる蓮如上人が愛用した硯。蓮如上人が筆をとると硯から水が出てきたという逸話が残されています。
●屋根を支える魔除けの柱:本堂の柱はヒノキが使われていますが、1本だけサクラです。建物が完全すぎるのを避ける意味で、逆柱になっています。

23年間かけた「平成の大修理」

「勝興寺」は建立から200年以上が経過して劣化が激しかったため、1998年から23年かけて大規模な保存・修理が行われました。対象となったのは、本堂、大広間、式台、書院、奥書院、御内仏などの計12棟です。改修工事をする過程で、本堂が建立された江戸後期の姿を基本として修復や整備を進めることが決められました。書院のそばに「平成の大修理」について紹介した部屋があり、修理前の寺の様子の写真、かつての建築材料や建築模型が展示されています。

越中国府の推定地で、万葉に思いを馳せる

「勝興寺」のある場所は、奈良時代に越中国府が置かれた場所だと推定されています。伽藍(がらん)には、越中の国守として5年間在任した万葉集の編纂者である大伴家持の歌碑が3つ建てられています。大伴家持は立山のことを詠んだ歌を残していますが、現在も本堂からは木々の合間から立山連峰の姿が望めます。「勝興寺」を訪れたときには、万葉の時代に思いを馳せてみてください。

近くの商店でも「勝興寺」のお土産を販売

「勝興寺」では、オリジナルの焼型をつけた煎餅、大広間の襖(ふすま)の模様をデザインしたタオルなどを販売しています。近くの商店でも取り扱っているので、ぜひ帰りに立ち寄ってみては。また、地元で三代続く和菓子店「こしむら百味堂」では、「勝興寺」が国宝に指定されてから”七不思議”をモチーフにした上生菓子を作り始めました。銘菓や四季の雅を映す主菓子とともにお土産に選ぶのもおすすめです。

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