勇壮な麦屋節に心躍る!五箇山麦屋まつりに行ってきた!

  • 勇壮な麦屋節に心躍る!五箇山麦屋まつりに行ってきた!-0

富山県南砺市五箇山(なんとしごかやま)の下梨(しもなし)地区で毎年9月23日に開催される「五箇山麦屋まつり」に行ってきました!当日の様子をみなさまにレポートします。

国の選択無形民俗文化財に指定されている民謡「麦屋節(むぎやぶし)」を中心に、地域の民謡と踊りが披露される伝統行事です。

当日は、地元の保存会南砺平高校郷土芸能部による舞台演舞のほか、観光客も参加できる麦屋節コンクールや輪踊りが行われます。地元のグルメが楽しめる屋台や獅子舞も!

秋の山里に響く唄と太鼓の音が、今も五箇山の文化を静かに語り継いでいました。

おわらだけではない!素晴らしき富山の民謡

富山県は全国的にも「民謡の宝庫」として知られています。
中でも「おわら風の盆」で有名な越中おわら節がよく知られていますが、五箇山で受け継がれている麦屋節(むぎやぶし)も、国の選択無形民俗文化財に指定されるほど歴史ある民謡です。
 

麦屋節は、源平合戦に敗れた平家の落人たちが都を偲んで歌い踊ったと伝えられています。刀を鍬や鎌に持ち替え、山の暮らしに生きた人々が、労働の合間に歌ったのが始まりだそうです。

紋付袴に白たすきを締め、笠を持ち、きびきびとした動きと凛とした姿勢で舞いを披露します。
その姿は本当に格好よく、華やかさよりも、凛とした強さを感じました。目の前の空気が重く引き締まるような重みと迫力があります。

麦屋節の踊りコンクールに挑戦!

このお祭りで特に印象に残ったのは、飛び入り参加できる「麦屋節笠踊りコンクール」です。
名前こそ「コンクール」ですが、参加できるのは観光客などの初心者限定
地元の五箇山民謡保存会の方々が丁寧に踊り方を教えてくださるので、初めてでも安心して参加できます。

当日は県外からの観光客だけでなく、地元の駐在さんやフランスからの旅行者の姿もあり、国や世代を超えて会場が和やかな空気に包まれていました。
私も夫と一緒に思い切って参加。
約1時間の練習を経て、いざステージへ。
結果は残念ながら入賞を逃しましたが、実際に踊ってみて改めて感じたのは、保存会の皆さんの踊りの完成度と体のキレです。

笠を巧みに操りながら、力強く、それでいて無駄のない動き。
長年の経験と積み重ねが生む優雅さと迫力に、ただ感心するばかりでした。
正直、日頃の運動不足を痛感しましたが(笑)、それ以上に、体を動かすことで初めてわかる、踊りに込められた情熱と歴史の重みを肌で感じることができました。
見ているだけではわからない、踊ることで理解できる五箇山の文化を体験できた貴重な時間でした。

地元ならではの味覚と若さ溢れる舞

会場には、美味しい屋台もずらりと並んでいました。
五箇山の清流で育った岩魚の塩焼きや、蜜がたっぷり染み込んだ紅はるかの焼き芋など、地元ならではの味覚が勢ぞろい。
特に焼き芋は、しっとりとした食感と濃厚な甘さが格別で、思わずおかわりしてしまいました。
しかも価格はひとつ100円(価格は取材当時のものです)
地元の方々の温かさが感じられる、なんとも良心的な屋台でした。

また、地元の南砺平(たいら)高校郷土芸能部によるステージも印象的でした。
若いエネルギーにあふれたキレのある踊りと、堂々とした表情。
伝統をただ守るのではなく、今の時代に生きる若者たちの力で受け継いでいるということが伝わってきました。
会場全体が息をのむように見入り、最後は大きな拍手に包まれていました。

地元の温かさに触れる輪踊り

祭りのクライマックスは、全員で踊る「輪踊り」です。
出演者も、観光客も、運営スタッフたちも、体育館に集まった人々みんなが、地方の生演奏に合わせて一斉に踊り始めると、会場全体が一体感に包まれました。

最初は振り付けが少し難しくて戸惑った麦屋節ですが、気づけば私も麦屋節の笠踊りを踊れるように(もちろん素人らしさはぬぐえませんが)なっていました。

踊りを通して、五箇山の人々の温かさと優しさを肌で感じました。
見て楽しむだけでなく、一緒に踊ることでこの土地の文化の一部に触れられた気がします。

郷土料理と民謡、そして守り継ぐ人々の想い

お祭りの合間に、近くの郷土料理店「高千代」に立ち寄りました。
店内の座敷にはなんと本物の熊の毛皮が飾られていてびっくり。

ジビエ料理のお店かと思っていましたが、店主は笑いながら
「うちはジビエではなく、五箇山の郷土料理のお店なんですよ」と教えてくださいました。

その言葉の通り、メニューには熊つけそば熊丼五箇山とうふ岩魚など、この地域ならではの料理がずらり。
私たちは熊丼、熊つけそばをいただきましたが、臭みはまったくなく、旨味が凝縮された
味わい
に驚きました。

さらに嬉しい出会いもありました。
カウンターに座っておられた地元のおばあさまが、かつて民謡の指導者をされていた方だったのです。
麦屋まつりを見に来た話をすると、なんとその場で笠踊りを披露してくださいました。
穏やかな笑顔のまま、美しい手の動きで笠を扱う姿はとても優雅で、引退された今も体に染みついた舞の美しさがそのまま息づいていました。

参加してみて思ったこと・取材後記

祭りは、毎年9月23日に開かれています。
地元の保存会や地域の方々によって運営され、練習会やコンクール、輪踊りなど、誰でも気軽に参加できる内容が魅力です。

この日は、朝からほとんどの時間を会場で過ごしました。
保存会の皆さんが何度も声をかけてくださり、踊りの話や五箇山の暮らしのことなどを笑顔で教えてくれました。
その温かい交流のおかげで、私たち夫婦もまるで地元の一員になったような気持ちで、お祭りの一日を楽しむことができました。

お話を伺う中で、「若い人が街に出て戻らない」「昔より祭りの規模が小さくなっている」と、少し寂しそうに話す方もいました。
それでも、「一人でも多くの人に五箇山の民謡を好きになってもらいたい」という想いが、会場全体に静かに、けれど確かに流れていました。

五箇山民謡保存会では、地域外からの参加も歓迎しているそうです。
興味のある方は、南砺市観光協会五箇山支所に問い合わせてみてください。

五箇山の美しい自然、郷土の味、そして文化を大切に守り続ける人々の姿に触れ、
この日過ごした時間は、心に残る忘れられない体験になりました。

この記事に関するタグ

ランキング

#人気のタグ

テーマ

エリア

ライター紹介

ライター一覧を見る

同じテーマの記事

このライターの記事