富山・黒部の名水が生む〜名水食堂「白兎亭」の手打ちうどん

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富山県黒部市・生地(いくじ)の名水で手打ちうどんをつくる「名水食堂白兎亭(はくとてい)」。大阪出身の店主・山田豊誠さんが、富山の清らかな水と関西風のだしで仕上げる一杯は、やさしく深い味わいです。登山を愛し、地域の人とのつながりを大切にしながら生地で暮らす山田さん。「白兎亭」は生地の風景に溶け込み、穏やかな時間が流れています。

生地(いくじ)地区に湧く名水「生地の清水」

富山県黒部市は名水の里。北アルプスの最奥に源を発し、山々から流れ下る黒部川の水が地下水となり、何十年という時を経て生地(いくじ)のあちこちで清らかな湧水となって地表にでてきます。生地の人々はこの湧水を「清水(しょうず)」と呼び、昔から生活に欠かせない水として利用してきました。
生地地区には20か所の湧水スポットがあり、湧き出る量や水質、味がそれぞれ異なります。水温は1年を通じてほぼ11℃。適度なミネラルを含んだ「美味しい水」として親しまれています。

「生地の清水マップ」を手に、実際に清水めぐりをしてみました。どこか懐かしい港町の風情が残る町を歩くと、至るところで水の音が聴こえます。「日本の名水」「とやまの名水」に選定されている清水は町の中に溶け込んでいて、ここに住む人々の生活の一部として大切に管理されていることを感じることができます。

名水食堂「白兎亭」〜生地の清水が生む手打ちうどん

富山県黒部市・生地の名水を使った手打ちうどんが味わえる名水食堂「白兎亭(はくとてい)」。大阪出身の山田豊誠(とよせい)さんが、清らかな水の美味しさに魅せられ、2023年1月にオープンしました。
山田さんが心を奪われたのは、生地(いくじ)の美味しい水でした。自ら汲みに行く生地の清水を、うどんの生地やだしに使用しています。透明感のある味わいは、その清らかな水の力によるものかもしれません。うどんはしっかりとしたコシを残しながらも、やさしく柔らかめの食感。だしは昆布や煮干し、鰹節を用い、関西風にすっきりと仕上げています。

富山ならではの赤巻蒲鉾をのせたうどんがまず提供され、ネギや天かす、かつお節などは自分で好みの量をトッピングするスタイル。素材の味をじっくり楽しめる、シンプルで飽きのこない一杯です。鍋焼きうどんは、甘く煮た揚げと野菜の甘みが溶け合い、深みとコクを感じさせます。
まただし巻き卵やいなり寿司などのサイドメニューもあり、うどんと合わせて注文することができます。

「白兎亭」という名は、兎年の開店にちなんで名付けられました。けれども、山田さんが兎が好きであること、会社員時代に赴任していた鳥取県や山陰で出会った日本海の魚の美味しさ、そして“因幡の白兎”の伝説を聞いていくと、それらが自然と結びつき、この名前になったのだと感じました。店内には可愛らしい兎のモチーフがあちこちに飾られています。描かれている兎のイラストは、すべて山田さん自身の手によるものです。
 

「白兎亭」の原点は会社員時代に出会った「うどん」と「名水」

「白兎亭」の開業のルーツは、山田さんの会社員時代にまでさかのぼります。製薬企業の営業職として全国を転々としていた山田さんは、赴任先の香川県で本場の讃岐うどんに出会いました。その時、「美味しい水でうどんを打てば、きっとすごい美味しいうどんが出来る」と強く感じたといいます。香川ではうどん作りの基本を学び、以後は自宅でうどんを打ちながら試行錯誤を重ねていきました。次第に“山田さん流”のうどんが生まれていったようです。

そして、転機となったのが富山県黒部市で毎年5月に開催される「黒部名水マラソン」。
エイドステーションで飲んだ黒部の名水の美味しさにびっくりし、忘れられない水となりました。

清水の里「生地」に惹かれて

美味しい水は日本各地にありますが、山田豊誠さんが選んだのは富山県黒部市・生地でした。この地は名水だけでなく、日本海の魚が豊富で、どれも驚くほど美味しいことでも知られています。山田さんは会社員時代に山陰で日本海の魚の味に感動した経験があり、黒部の海にも同じ魅力を感じたといいます。
さらに、山田さんのもう一つの趣味が登山。黒部市は北アルプスの山々へのアクセスがよく、四季折々の自然を感じられる環境です。清らかな水、豊かな海の幸、そしてすぐそばに自然豊かな山々、そのすべてがそろう生地は、まさに山田さんにとって理想の地でした。

こうして、「美味しい水でうどんをつくりたい」という想いと、「自然に囲まれた暮らしを送りたい」という願いが重なり、白兎亭の舞台は黒部・生地に決まりました。

生地の暮らしと人とのつながり

そんな魅力あふれる生地に移住し、山田さんは「美味しいうどんを作る」という夢を叶えました。「白兎亭」は現在、週4日のみの営業。山田さんは趣味の登山を思う存分楽しみながら、仕事と暮らしのバランスを大切にしています。北アルプスを望むこの地で、自然とともに生きる穏やかな時間が、うどん作りにも良い影響を与えているのかもしれません。
また、山田さんは黒部漁港でも手伝いをしており、地元の人々とのつながりをとても大切にしています。漁港での作業は朝が早く大変なこともありますが、「漁港の方々や漁師さんをはじめ、地域の方々と関わりながら暮らすことが何より楽しいし、黒部で獲れる魚は本当に美味しい」と言います。地域の子どもたちを対象にした“うどん打ち体験”を開催するなど、地域との交流も行なっています。
美味しい水と魚、山の恵みに囲まれ、人と人とのつながりを大切にしながら営まれる「白兎亭」。生地の風景に溶け込み、穏やかな時間が流れています。

住所:富山県黒部市生地経新4416
営業日:週4日営業(営業時間は公式SNSでご確認ください)
アクセス:あいの風とやま鉄道 生地駅から徒歩35分(約2.1キロ)
電話:0765-55-1650

※この記事は黒部市とのタイアップです。

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