富山の春・夏お祭り特集-1

富山県内には曳山行事や行燈の祭り、七夕流し、踊りなど、多彩な祭りが数多く伝承されています。
地域の誇りとして受け継がれてきた素晴らしい伝統文化は、どれも唯一無二の形態が守られてきました。伝統工芸の粋を集めた精緻で豪華絢爛な山車、勇壮なぶつかり合いの迫力満点な姿など、祭りの魅力はその場に足を運んでこそ感じられるものばかり。

今回は春~夏(4~8月)に実施される代表的なお祭りを紹介します。
富山県内各地に出かけ、五感で祭りの魅力を感じましょう。

富山の祭りの特徴


富山の祭りは、大きく3つの特徴があり、つくりもん(曳山)、火を使う祭り、獅子舞が多いといわれています。商業や交易で繁栄・発展した地域には、大きな祭りが現在も受け継がれています。特に国指定重要無形民俗文化財の4つの祭り「高岡御車山祭」「たてもん祭り」「城端曳山祭」「放生津八幡宮 曳山・築山行事」は、地元の人たちの熱意によって大切に守られてきた、富山の宝です。

2010年代からは、祭りをテーマにした文化施設が続々と登場し、祭りを目当てに富山を観光する人が増えています。

「ユネスコ無形文化遺産」登録の祭り


2016年に、富山県にある3つの祭りがユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」に登録されました。「高岡御車山祭の御車山行事」「魚津のタテモン行事」「城端神明宮祭の曳山行事」です。

全国で33の行事が登録された中で、ひとつの県で3つの行事が登録されるのは北信越で唯一です。富山は全国的にも山車や屋台が巡行する行事が多く受け継がれており、江戸時代前期に始まった高岡御車山行事に始まり、県内各地で山車や屋台が巡行する行事が行われています。

高岡御車山祭〔高岡市〕


開催日: 例年 5月1日
加賀前田家2代当主の前田利長が、かつて豊臣秀吉が聚楽第に後陽成天皇を迎えた際に使った御所車を山車に仕立てて町民に与えたのが始まりとされています。京都祇園祭に似せて造作されたと伝えられています。

関野神社の春季祭礼で7基の御車山が巡行します。
花笠によって彩り豊かに飾られていて、最上部の鉾留は胡蝶や桐、釣鐘など、町内によって違ったモチーフ。動く美術館と呼ばれ、高岡の漆工、金工、染織技術が結集しています。毎年5月1日に開催され、前日の4月30日は宵祭(御車山のライトアップ)が行われます。

城端曳山祭〔南砺市〕


開催日: 例年 5月5日
江戸時代には、五箇山など近隣の繭や糸を使って多くの絹織物が生産され、一大産地として栄えた場所です。城端神明宮の曳山行事は、神輿に先導されて、各町内の獅子舞と剱鉾、庵屋台、曳山が町内を巡行します。

庵屋台があるのが特徴で、屋台の中では庵唄が歌われており、神事でありながらも江戸の文化を吸収した庶民の楽しみであったことがわかります。「庵唄所望」と書かれた家の前では、正装した旦那衆の前で端唄が披露されます。

たてもん祭り〔魚津市〕


開催日:8月2日~3日(例年 8月第1金・土曜日)
海の安全と豊漁を祈願する祭礼で「たてもん」と呼ばれる行燈が曳き回されます。たてもんは、風を受けた船の帆を見立てており、ソリ状の台に約15mの木を立て、90余りの提灯や行灯が吊り下げられています。7基のたてもんが諏訪神社の広場で順々にグルグルと回される姿は大迫力で、地元の夏の夜を彩る風物詩にもなっています。

「じゃんとこい魚津まつり」の期間に開催されるメイン行事のひとつ。
祭りを実際に体験したい人は、たてもんの曳き手ボランティアに応募するのもおすすめです。

ほかにも曳山祭がたくさん


富山県は全国的に見ても数多くの曳山が受け継がれています。
上部に花笠を立て人形を据えた「花山型」(高岡御車山祭や伏木曳山祭)と、上部に破風屋根と人形を据えた「屋台型」(城端曳山祭や越中八尾曳山祭)に大きく分かれます。

曳山の運行にも、それぞれ特徴があります。夜になると岩瀬は「曳き合い」、伏木は「かっちゃ」と呼ばれる喧嘩があり、曳山同士をぶつけ合います。
凄まじい衝突音とともに、それぞれの祭は最高潮を迎えます。

伏木曳山祭〔高岡市〕
開催日: 5月17日~18日(毎年5月第3金・土曜日)

伏木曳山祭りは、海岸鎮護・海上安全の神である伏木神社の春季祭礼として、華やかさと勇ましさが融合した港町の心意気で満ち溢れており、伝統と心を今に伝える大切なお祭りです。
 

  • 越中八尾曳山祭〔富山市〕

    越中八尾曳山祭〔富山市〕

    開催日: 例年 5月3日
    寛保元年(1741)に始まったとされ、毎年5月3日の八幡社の春季祭礼の際に、神輿巡行の随伴として、6町から出される6基の曳山が引き回される。

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  • 岩瀬曳山車祭〔富山市〕

    岩瀬曳山車祭〔富山市〕

    開催日: 例年 5月17日~18日
    岩瀬曳山車祭は、岩瀬諏訪神社の春季例大祭として開催され、11本の曳山車(ひきやま)が勇壮に町を練り歩きます。車輪のついたそり台とタテモンとよばれる行燈が特徴的。

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夜高(よたか)祭


散居村が広がる砺波平野では、いくつもの夜高祭が行われています。
どの祭礼も夜の喧嘩がクライマックス。地域の人が五箇山和紙などを使い、何ヵ月もかけて手作りした行燈を、喧嘩によって壊し合います。

特に県無形民俗文化財に指定されている「福野夜高祭」は、高さ7mもある大行燈が街を練り、若衆のヨイヤサの掛け声がこだまする威勢のいい祭。「庄川観光祭」は、花火や松明の行進なども光を使った演出が夜を盛り上げます。
 

  • となみ夜高まつり〔砺波市〕

    となみ夜高まつり〔砺波市〕

    開催日: 例年 6月第2金曜土曜
    若者や子どもたちの「ヨイヤサー、ヨイヤサー」の掛け声とともに、町を練り回る高さ6mを超える見事な夜高行燈。威勢のいい掛け声とともに、拍子木、太鼓の音が響き渡れば、お祭りムードはさらに盛り上がります。

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  • 庄川観光祭〔砺波市〕

    庄川観光祭〔砺波市〕

    開催日: 例年 6月第1土・日曜
    勇壮な夜高行燈(よたかあんどん)をはじめ、夜空に舞う花火、たいまつ行進など、華やかな光のファンタジーが繰り広げられます。夜高行燈のぶつかり合いも大いに白熱します。

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  • 福野夜高祭〔南砺市〕

    福野夜高祭〔南砺市〕

    開催日: 例年 5月1日・2日
    最大の見どころは、2日の23時頃から始まる呼び物の引合い(ケンカ)。威勢のいい拍子木とともに、若衆が相手方の行燈を壊し合います。その激しい引合いは、見る者を釘付けにする迫力があります。 

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  • 津沢夜高あんどん祭〔小矢部市〕

    津沢夜高あんどん祭〔小矢部市〕

    開催日: 例年 6月の第1金・土曜日
    向かい合った2つの行燈が、総裁許の掛け声で激しくぶつかり合い、相手側の山車、吊りものを壊す「ぶつかり合い」は迫力満点!その瞬間が、まさに夜高まつりで生じるエネルギーの焦点であり、そこに居る人すべてが緊張と陶酔の世界へ引き込まれていきます。 

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まるまげ祭り〔氷見市〕

開催日: 例年 4月17日
かつて氷見にいた芸妓が、年一度しかない休日に「丸髷」を結って千手寺の千手観音に幸せな結婚ができるよう願掛けしたのが由来と伝わっています。

芸妓の数が少なくなったため衰退していましたが、1987年から独身の女性を対象に一般公募を始めました。花笠童子、太鼓台や稚児、神輿に続いて、ピンクや水色、紫の着物に丸髷姿の未婚女性が、氷見市中心部の商店街を通り千手寺までを練り歩きます。外国人の参加者もいて、大きな賑わいを見せています。

滑川のネブタ流し〔滑川市〕

開催日: 例年 7月31日
7月31日の夕方に、ホタルイカミュージアム近くの滑川市中川原海岸で行われています。藁や蓆で作られた7、8mほどの大きな松明(ネブタ)に短冊などで装飾し、木組みの櫓の上に立て、町内を練り歩いた後、火を点けて海上へ流します。11基のネブタと一緒に、地元の人たちも海に浸水。

眠気や身についた穢れを払い、無病息災を祈願します。「ネブタ」としては日本海側の南限とされています。富山湾の夕日を背景に燃えるネブタは、神秘的な光景を作り出しています。

春から夏にかけて富山で行われるお祭りを紹介しました。
現地に出かけて、地域に伝わる祭りの魅力を体感してください。
 

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