富山の珍味!氷見の郷土料理 鰯の漬物「こんか漬け」伝統の“こんか開き”に行ってきました!
富山県氷見(ひみ)市の、知る人ぞ知る発酵珍味「こんか漬け」。
魚を米ぬかに漬け込んだ、北陸ならではの保存食です。
今回は、そんな「こんか漬け」の製造元「柿太水産」の“こんか開き”イベントに訪れ、伝統の味に触れてきました。
富山県・氷見にある伝統保存食「こんか漬け」とは?
「こんか」とは、米ぬかのこと。
氷見の「こんか漬け」とは、主にイワシやサバ、ブリなどの魚を米ぬかや麹、酒粕、塩とともに漬け込み、発酵・熟成させた北陸地方の伝統的な保存食です。
福井では「へしこ」、石川・金沢でも「こんか漬け」と呼ばれ、地域によって味付けや仕込み方が異なります。氷見の「こんか漬け」は、能登地方の流れを汲み、米麹を加えているのが特徴です。
冬に仕込み、梅雨明けに開く!伝統の「樽上げ」
魚の脂が乗る冬場に仕込み、約半年間発酵・熟成させ、梅雨明けとともに樽を開ける「樽上げ」。
100年以上続く老舗「柿太水産」では、6代目の柿谷政希子さんがこの伝統を継承。
柿谷政希子さんはこんか漬けの樽上げを「こんか開き」と呼び、毎年イベントとして開催。
「こんか開き」は、親戚や友人と始めた小さな会から口コミで広がり、今年で10年目を迎えました。
手間と愛情をかけた「氷見の味」
「昔は各家庭で手作りしていたんです」と話す柿谷さん。現在は加工業者も少なくなり、「こんか漬け」はますます貴重な存在に。
こだわりは“ぬか”にもあります。
「糠ごと食べるものだから、新鮮で農薬の少ない米糠を使いたい」と、黒部市の「濱田ファーム」や南砺市の「サクサク村」の減農薬米を使用。
新鮮なぬかは柔らかくアーモンドプードルのようで、口当たりもなめらかなんだそう。
炙って、和えて、パスタに、パンにも!多彩な食べ方
「こんか漬け」はそのままでも炙ってもOK。酒の肴、ご飯のお供にもピッタリです。料理にアレンジしても楽しめます。
・お茶漬け
・塩むすびのトッピング
・大根おろし+三杯酢でさっぱり
・玉ねぎスライスに甘酢をかけて前菜風にも
その他パスタやピザ、パンにも合います。
富山県内では、地元の飲食店が創意工夫した「こんか料理」が楽しめます。
富山市にある「D&DEPARTMENT DINING TOYAMA」でもここ数年、週替わりパスタはにこんか漬けが取り入れられています。
2025年は「柿太水産こんか漬けと焼きナスのタプナードソース」でした。
本来、タプナードソースはオリーブ・アンチョビ・ケイパーが使われますが、アンチョビを炙ったこんか漬けでアレンジ。
料理長の嶋林さんが注目したのはこんかの糠に入っている、山椒、唐辛子などの様々なスパイス。
この糠を活かすため、オーブンにいれてカリカリにしたそうです。
こんかそして香ばしく焼いたなすと、ホタテの小柱で冷製パスタになるなんて!
料理次第でこんかの無限の可能性を感じました。
氷見市にあるイタリアンキッチン「オリーブ」では夏季限定で「こんかいわしと夏野菜のパスタ」が頂けます。
南砺市にある「クッチーナノブ」では「こんかのピザ」がなんと通年で!
富山市にあるパンアリエではこんかをパン生地に練り込んで焼き上げる「こんかねじねじ」(毎週土曜限定)が。夏限定で山椒風味も味わえます。
さらに東京・大塚の「29Rotie」では「炙ったこんか+冷たい無塩バター+焼きたてライ麦パン」の意外な組み合わせが、酒好きの間で話題に。
こんかはワインにも日本酒にも合う“大人の珍味”です。
「こんか開き」イベントの魅力
イベントでは加工場に特設食堂が開かれ、富山の人気飲食店や料理研究家の方が趣向を凝らしたこんかメニューが提供されます。
2025年は新物と3年ものの食べ比べも楽しみました。
経年と共に味にも深みが出て、まるでチーズのような味わい。
家にもお持ち帰りしました。
南インドの豆でできたドーナツにもこんかが。
すり身が入っていないのにも関わらず、すり身のような味わいにビックリしました。
どのこんかメニューもこんかと柿谷政希子さんへの愛情が感じられ、心まで満たされます。
このチャリティーイベントは売上の一部が復興支援に役立てられています。
購入方法・お取り寄せ
今や貴重な伝統保存食「こんか漬け」は以下の場所で購入できます。
・柿太水産(氷見市)
・D&DEPARTMENT TOYAMA(富山市)
・地場もんや(富山市)
また、柿太水産のウェブサイトやSNSでも情報を発信中です。
地元の味を自宅でも楽しんでみてはいかがでしょうか?