富山の清流が育む天然鮎。掴み取りから食まで、夏の鮎文化を味わい尽くす
富山といえば、新鮮な海の幸を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、富山の食の魅力はそれだけではありません。
富山が誇る清流が育む天然鮎は、夏の訪れを告げる富山の風物詩。釣りを楽しむ釣り師から、子どもたちが掴み取り体験で命と食を学ぶ食育の場まで、さまざまな形で人々の暮らしに根づいています。
富山の天然鮎の魅力を「知る・体験する・食べる」の3つの視点からご紹介します。
富山グルメは海の幸だけじゃない!清流が育む川魚文化の魅力
富山県は、豊かな海の幸で全国的に知られています。しかし実は、山から海へと流れる清らかな清流に恵まれた富山には、もうひとつの食文化があります。それが、古くから人々の暮らしに根づいてきた川魚文化。
神通川・常願寺川・黒部川・庄川など、富山県内を流れるこれらの川は、豊富な水量と澄み切った水質で、上質な川魚を育む環境をつくり出しています。
夏になると注目を集めるのが天然鮎。例年6月に漁が解禁され、多くの人が川で鮎釣りをする姿が見られます。地元の人々にとっては季節の訪れを知らせる存在であり、食卓を彩る大切なごちそう。富山を代表する川の味覚です。
富山の天然鮎はなぜおいしい?
富山の天然鮎が特別においしいといわれる理由は、その育つ環境にあります。北アルプスの雪解け水を源とする清流は水温が低く、川底には鮎の大好物である珪藻(けいそう)と呼ばれる藻が豊富に育ちます。この藻をたっぷりと食べて育った天然鮎は、独特の爽やかな香りを持つようになります。
富山では古くから鮎漁が行われてきました。漁法もさまざまあり、川の流れを読みながら網を投げ込む「投網(とあみ)漁」や、鮎の縄張り意識を利用した「友釣り」などがあります。釣り人が川に立つ夏の風景は富山の風物詩です。
地元の漁師に話を聞くと、富山の鮎は繊細な味が特徴とのこと。富山の川は水温が低く、鮎が比較的小ぶりなため、繊細な味になるそうですよ。
おすすめは、最もおいしい時期だという6〜7月とのことでした。
子どものころから身近な富山の鮎食文化
富山で鮎が特別な存在である理由は、大人だけの話ではありません。地元の子どもたちにとっても幼いころからなじみ深いもの。
県内のある保育園では、天然鮎の掴み取りから焼いて食べるまでを体験する食育イベントが行われました。
水の入ったタライに放たれた鮎を、子どもたちが元気よく素手で追いかける姿はなんとも微笑ましく、歓声と笑顔があふれます。捕まえた鮎は、その場で炭火でじっくりと鮎焼きに。そして「いただきます」のひと声とともに、思いっきりかぶりついていました。
移住者の私は大人になるまで天然鮎に触れたことはほとんどなく「鮎=大人の食べ物」というイメージが強くありました。そのため、子どもたちが鮎を頬張り、満面の笑みでもぐもぐしている様子が印象深かったです。
「命をいただく」ということを、知識ではなく体全体で感じる、貴重な経験になっていると思いました。
富山で天然鮎を食べるならここへ!
富山で天然鮎料理を味わうなら、砺波市にある「旬の味づくり 魚安」は外せません。
庄川のほとりに佇むこのお店は、地元の方々はもちろん、遠方からわざわざ訪れるファンも多い名店です。6月中旬に訪れてみると、開店前から駐車場で待つ人たちの姿も!その後、正午が近づくに連れて続々とお客さんが来店されていました。
お店のすぐ横には庄川が流れていて、訪れる際には鮎漁をする人々の姿も見られました。食卓に運ばれてくる鮎が、どんな川でどんなふうに生きていたのかを感じられるのは贅沢ですね。
料理人いわく、庄川の鮎の魅力は苦味がおいしいことだそう。苦味をおいしいと考える食材は少ないからこそ、そこを魅力に感じるとおっしゃっていました。また、頭からしっぽまで丸ごと食べられるのも特徴だそうですよ。
今回は庄川天然鮎を使用している「清流膳」をいただきました!
炭火でじっくりと焼き上げられた鮎は、皮はパリッと香ばしく、身はしっかり引き締まっています。清流の香りが鼻を抜け、凝縮されたうまみが口いっぱいに広がります。格別という言葉がぴったりなほど濃厚な味わい。内臓のほろ苦さもクセになります。
鮎酢をつけるとさっぱりとした味わいに。より魚の甘みが感じられるようになりました。
一方で、揚げ物はふっくらとやわらかく、より苦味がダイレクトにやってきます。頭から食べてみると、最初は苦味を、後半は淡泊な味わいと上品な甘みを楽しめました!
調理法ひとつで、これほどまでに鮎の異なる表情を引き出せることに驚き、その魅力の幅広さを実感しました。独特のほろ苦さと香りは、一度食べると病みつきになる、まさに「大人のご褒美」。
6月中旬〜10月下旬は「庄川天然鮎」を、3月〜11月末は「庄川の伏流水で育てた鮎」を楽しめます。
さらに、若い世代にもアユ料理に親しんでもらおうと考案された新メニュー「香味鮎 ひつまぶし御膳」も注目です!