金属なのに折り紙みたい?高岡「シマタニ昇龍工房」で自分だけの「すずがみ」作り体験
富山県高岡市に、金属をまるで紙のように扱う不思議な体験ができる場所があります。創業明治42年、100年以上の歴史を持つ「シマタニ昇龍工房」です。
今回は、伝統的な「おりん」職人の技を肌で感じながら、自分だけの「すずがみ」作り体験の様子をレポートします。
寺院用のおりんを作る「シマタニ昇龍工房」とは?
富山県高岡市にある「シマタニ昇龍工房」は、明治42年(1909年)の創業以来、100年以上にわたって寺院用の「おりん」を専門に製造している工房です。全国的にも、金槌で叩いて形を作る「鍛金(たんきん)」技法でおりんを作れる職人は希少な存在であり、この工房ではその技術を受け継いでいます。
実際におりんの音を聞いてみると、心にじわーっと響き、なんだかスッと心が整う感じがしました。音が空間に響き渡る時間が長く、自然と目を閉じたくなりました。
シマタニ昇龍工房の「すずがみ」ってどんなもの?
近年では、伝統技術を守るだけでなく、現代のライフスタイルに合わせた新しいものづくりにも挑戦しています。そこで誕生したのが「すずがみ」。鍛金技術を応用し、開発されました。
「すずがみ」を持ってみると、今までに出会ったことがない不思議な質感に驚きました。
素材は錫(すず)100%。とてもやわらかい金属なので、少し手で力を加えただけで「グニャッ」と曲がり、金属でできた折り紙のようです。爪でも簡単に跡がつくほど。
「すずがみ」作り体験は4,000円。所要時間は1人あたり15分程度です。
「すずがみ」作りを体験!
工房に入ってまず驚かされるのがその雰囲気。道具がずらりと並び、迫力があります。金槌だけでもものすごい数です。そして、工房に座るともう職人気分に!
「すずがみ」作り体験では、日本の気象現象に見立てた2種類の模様から選べます。
・さみだれ:陰暦五月の長雨の跡のようなライン
・かざはな:雲の少ない日に舞う雪のような模様
まずは職人さんのお手本から。「カン、カン、カン!」と軽快でリズミカルな音が工房に響きます。
見よう見まねで挑戦。簡単そうに見えますが、実はこれがすごく難しかったです。金槌の面を正確に板に当てることに苦戦し、私はどんなに叩いても金槌の半分くらいの模様しかつけられませんでした。
コツを聞いてみたところ、テンポ感が大事とのこと。ゆっくりやりすぎると逆にやりづらく、程よいリズムで刻むのがポイントだと教わりました。
確かにリズム感を意識すると、うまくいくこともありましたが、それでもバチっとすずがみに模様をつけるのは至難の業。
また、金槌はずっしりと重く、打った衝撃も手にくるため、終わる頃には筋肉痛の予感も……。しかし、この「無心で叩く」時間がなんとも心地よく、没頭できる楽しさがありました。
「すずがみ」を金槌で叩く作業は、模様をつけるために叩いているだけと考えがちですが、これは鍛金という作業です。文字通り、叩くことで金属を鍛え、強度をアップさせています。
実際に叩いたところと叩いていないところを触ってみると、その差は歴然。鍛金したところはしっかりとかたくなっていました!
完成した「すずがみ」を自宅で楽しむ方法
叩き終わった「すずがみ」は、そのまますぐに持ち帰れるので、その日から自宅で楽しめます。
端を折って小皿にしたり、小物置きにしたり。簡単に曲げ伸ばしができるため、用途に合わせて自在に変形できます。
私は、最初のうちは和菓子の小皿として使い、現在はお香立てにしています。和菓子をのせると、上品な仕上がりに大変身し、よりおいしそうな見た目に!他にもお刺身やそうめんなど冷たい食材との相性抜群です。
錫は、融点が低いため、火にかけたり、電子レンジやオーブンで使用したりするのはNG。また、同じ場所を何度も激しく折り曲げすぎると亀裂の原因になるので、やさしく扱いましょう。
ものづくりの町・高岡で「すずがみ」作り体験を
ただお土産として「すずがみ」を買うのでなく、その背景にある歴史や技術に触れられるのが、この体験の魅力。自分で叩いたちょっと歪な模様も、見れば見るほど味として愛着が湧いてきます。
少し特別なお土産として「すずがみ」作り体験をしてみませんか?