【富山市のおとなり舟橋村】日本一小さな村のキラリと光る観光スポット5選!

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舟橋村は富山県のほぼ中央に位置する自治体で、「日本一ちっちゃな村」のキャッチコピーで有名だ。隣接する富山市のベッドタウンとも称される同村は、およそ3300人が暮らし、面積は約3.47kmと全国でも最小だという。そんな同村でキラリと光る観光スポット5カ所を訪ねた。

【GLASS FACTORY K's studio】「ガラスの街とやま」の吹きガラス体験ができる!

世界的メディアであるニューヨークタイムズの「2025年に行くべき52か所」の記事で話題となった富山市のガラスアート。ガラス文化に触れる方法としては、富山市の「富山ガラス工房」での吹きガラス体験が有名だが、実はもう一つ県内で同体験ができる施設がある。

それが舟橋村の工房「GLASS FACTORY K's studio(グラスファクトリーケーズスタジオ)」だ。

代表の吉田薫さんは、富山市ガラス造形研究所でガラスアートを学び、同所の助手などを経て独立、1997年に工房を開設した。自身の作品制作のかたわら、ガラス体験や教室を開催している。

人気の吹きガラスの体験時期は11月~6月まで。ガラスに模様を施すサンドブラストと、電気炉を使って制作する箸置き作り体験は通年で開いている。吹きガラス体験は4人、サンドブラストと箸置き作りは8人まで受け付けている。

吉田さんの作品は富山市ガラス美術館で展示販売しており、ガラス作家の手ほどきを間近に受けながらのひと時は旅の思い出に残るだろう。最近では、某著名人が富山県での仕事の際に立ち寄って吹きガラス体験をしており、その満喫した証しは工房内に記されている。
少人数の開催で実施日の調整もあるため、体験希望者は事前にメールでの予約が確実だ(予約受付メール:kaoruyoshida0131@gmail.com)。

【喜多山】老舗の食堂で味わう噛み応えのある富山ブラックラーメン

交通量の多い県道富山上市線の道沿いに位置する食事施設「喜多山」は、創業約40年の老舗店で、約20年前に富山市から舟橋村へ移転した。以来、村民や通行人が引きも切らずに訪れる人気の食事処である。
同店の人気メニューは麺とスープにこだわったラーメンと、そばの出汁をベースにした創業以来の味を守るカツ丼。今回は富山名物として名高い富山ブラックラーメンと昆布おにぎりを味わった。

まずはスープを一口。ガツンと来そうな濃い目の色合いとは打って変わったマイルドな口当たり。麺は固めでコシがあり、すすりながら噛むごとに小麦の風味をきっちりと感じ取れる。チャーシューは箸でつまむとほろほろ崩れるほど柔らかい。麺の食感を主役にした独特な味わいがクセになる喜多山ならでのはブラックラーメンだった。

昆布おにぎりはふわふわなにぎり方で、とろろ昆布の表面と、中の昆布佃煮の塩味二重奏がたまらない。富山県民が慣れ親しむおにぎりの味をじっくりとたしなんだ。同店はこのほか、うどんやそばのメニューも豊富で、一品料理もある。店内には小上がりとテーブル、カウンター席がある。営業時間は11:00~14:30、17:00~21:00。火曜日定休。

【湯めごこち】茶褐色の源泉かけ流し天然温泉でゆったり、サウナやRVパークも充実

2009年の開業以来、温泉好きやゆったりと余暇を過ごす人でにぎわうのが温浴施設の「舟橋・立山天然温泉湯めごこち」。温泉は地下1588mから湧き出る茶褐色の源泉かけ流し天然温泉。アルカリ性で肌にやさしく、温泉成分は体液よりも濃度が低い「低張性」で、湯あたりも起きにくい。

同施設の特徴は県内最大級の露天風呂の広さ。男女とも一度に30人は入れる大きさで、庭園の景色を眺めながらゆっくりと湯を楽しむ設えがなされている。大浴場は露天風呂のほか、内湯、釜湯、定期的に湯の中身を変えるイベント湯、そしてサウナがある。

サウナは男性がフィンランド式のロウリュウ(蒸気)サウナ、女性は乾式サウナを導入している。機械で熱波を送るイベントなども開催しており、近年流行のサウナ愛好家、いわゆる“サウナー”の人も見逃せない。2025年8月からは温泉に関係の深い北投(ほくとう)石を温泉とサウナに取り入れ、さらなる魅力増進を図っている。

同施設の人気の理由は過ごしやすさにもある。休憩室は全部で4カ所あり、最大約80人が滞在可能。レストランも麺類から定食、そして「サ飯」と呼ばれるサウナ愛好者をターゲットにしたスタミナが付きそうなメニューを揃えている。

さらに、車中泊施設の「RVパーク」が県内最大規模の15台完備されている。各駐車スペースには電源設備があり、24時間使用可能なトイレも設置。富山県内中心部の舟橋村の位置は旅行者にとって利便性が高く、ゴールデンウイークやお盆といったシーズンには予約で連日満車になるそうだ。新しい旅行スタイルの滞在場所としても注目だ。営業時間は平日10:00~24:00、土日祝日9:00~24:00。木曜日定休。

【無量寺のハス畑】お盆に咲く清らかなピンクの花

舟橋村の写真映えするスポットとして推したいのは、県道富山上市線沿いにある無量寺と、その前に栽培されているハスの花だ。無量寿は真宗大谷派の寺で、1869(明治2)年にこの地で年貢軽減を訴えて農民たちが一揆を起こした、いわゆる「ばんどり騒動」の際の決起場所となった場所として知られている。その前のハス畑は付近村民が管理している。約40年前に減反政策が機となって田んぼをハス畑に転用し、出荷用として栽培を始めた。歴史的な風格ある無量寺と、清らかで鮮やかなピンク色のハスとの構図が、毎年お盆の風物詩として地元民や写真愛好家から親しまれている。

ハス畑は2024年から出荷を止め、現在は観賞用として管理されている。管理する村民は、花を楽しみにしている人のために、出来るだけ長く栽培を続けていきたいとしている。

【お※食堂】越中舟橋駅にある地産米を使った冷凍食品の自販機

最後に紹介するのは、越中舟橋駅(えっちゅうふなはしえき)構内にある「お※食堂(おこめしょくどう)」。舟橋村産の米を使った弁当をはじめ、富山県産米粉、米糀、生クリームなどを取り入れたスイーツのスコーンなどが自動販売機で販売されている。

自販機で「トンテキ弁当」と「レモンスコーン」を購入した。「トンテキ弁当」は、電子レンジで5分温めると出来上がり。メイン具材の豚肉を生かすシンプルな味付けで、その味を調味料の糀が引き立てている。スコーンも自然な甘さで、レモンの酸味がふんわりと感じる品だった。冷凍保存の賞味期限はいずれも約5カ月で、舟橋村に立ち寄った際のお土産にもおすすめ。また、商品の中身は定期的に入れ替えるので、季節限定の品も並ぶそうだ。

【おわりに(記事化に至る背景)】

余談になるのかもしれないが、筆者が舟橋村を記事にしようと思い立ったのは、過去に青年経済団体の全国組織に所属していた折、同じ団体で愛知県刈谷市から来た「舟橋」さんと仲良くなったのがきっかけだった。
身の上話をしているうちに、彼が旅行で富山県舟橋村を訪れた話をし始めた。
「なぜさしたる観光地もない舟橋村に行こうと思ったの?」
歯に衣着せぬ本音で問うと、
「だって自分の姓と同じ『舟橋』って名前の付いた自治体ってさあ、ここしかなかったからじゃんね(三河弁でじゃんね=です)。自分のルーツかもしれないと思ってさ、行ってみたくなったんだ」
と、にこやかに答えたのを覚えている。
「それで、旅行して実りはあったの?」
「うん!とりあえず舟橋村消防団の建物を見つけて、看板もあったからそこで写真撮ろうと思ってさ。うろついてたら消防団の人に声をかけられ、事情を話したら心から歓迎されて一緒に写真撮ったんだよォ!あれは良かったなァ~」
と、彼は満足した様子で振り返っていた。
その時、観光地を捉える価値観の多様性に気付かされ、我が出身県を「富山県はなんもないちゃ~(何もありません)」と自虐的に紹介していた自分を恥じたものだ。

地元民には何の変哲もない見過ごしがちな場所が、何かの契機でキラリ光る観光地に変わる可能性は計り知れない。例えば、映画やアニメのロケ地を観光する「聖地巡礼」といった流行が、それを表しているのではなかろうか。人生の歩みは同じ場所を回り回る遊具の“メリー・ゴー・ラウンド”ではなく、視点や考えが変化していくにつれて、自身に広がる世界の景色もがらりと変わっていく。そんな思いを心に留めて旅行を楽しめば、観光地の付加価値もさらに高まっていくのだろう。今回紹介したスポットは、その魅力を存分に秘めている。

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