富山県内の民泊・ゲストハウス3選!「暮らすように旅する」宿の魅力【氷見市・富山市・朝日町】

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富山県内の宿泊に、民泊やゲストハウスを選ぶのも一つの趣向として面白い。昔ながらの民家や店舗を改装して宿に生まれ変わった場所では、その佇まいと周囲の風景を通じて、地域の暮らしや生活習慣に触れる瞬間がきっとあるだろう。
非日常の旅を、まるで日常生活のように過ごす。いわゆる「暮らすように旅する」という価値観は、近年注目される新たな旅のスタイルだ。そんな旅のかたちを叶えてくれる、富山県内の魅力的な民泊とゲストハウスを3軒紹介しよう。

【氷見市・Guesthouse泉屋】商店街の一角・反物屋の雰囲気残す「氷見のまちに暮らす宿」

まず紹介するのは、富山県西部 氷見(ひみ)市にあるゲストハウス「Guesthouse泉屋」。アクセスは、車の場合氷見インターチェンジより約8分で、駐車場も完備している。公共交通は、JR氷見駅より徒歩約5分。
昔あった反物屋を改装し、親しまれていた屋号「泉屋」をそのままゲストハウス名に取り入れた。レトロなアーケードが印象的な商店街の中に位置し、1階には交流スペースとキッチン、ドミトリー(共同宿泊)タイプの寝室1部屋、2階に広めの同タイプの寝室1部屋がある。いずれも2段ベッドが2つあり、1階は最大4名、2階は布団を敷いて6名まで宿泊できる。

宿泊者には泉屋オリジナルの周辺マップを渡している。マップにはおすすめの食事処や観光スポットなどが紹介され、マップを手に思い思いに地元のレストランに入ったり、スーパーで食材を購入してキッチンで調理するなどして滞在を楽しんでいる。

宿泊者と地域住民を結ぶ交流スペース

特徴的なのは交流スペースで、地元民と旅行者が交流する場所として活用されている。定期的には、氷見市が勧める「きときと100歳体操」の会場になっており、地域の人々が週2回同スペースに集まっては体を動かし、また宿泊者にも声を掛けて一緒に体操することもあり、自然なふれあいが生まれる場所となっている。

県外移住者のオーナー野元さん、開業のきっかけとは

「Guesthouse泉屋」のオーナー、野元希恵(のもと・きえ)さんは愛知県出身の県外移住者で、実は筆者とは富山県の観光関連事業「とやま観光塾」の同期生として互いに面識がある。氷見市でゲストハウスを開いたきっかけを聞いた。
学生時代にワーキングホリデーを利用して海外をバックパッカーとして巡っていた野元さんは、ドミトリー式のゲストハウスに魅力を感じ、旅の定宿として利用していた。帰国後も国内のゲストハウスを泊まり歩くうちに、「いつか自分でゲストハウスを経営したい」との思いが芽生えていった。そんな中、ワーキングホリデー時代の友人が富山出身だったことから、その友人の元を遊びに訪ねた際、富山県の風情に惹き付けられたそうだ。
「富山県は自然のレベルが違います。それに、地元の方々がとても温かく迎えてくれて、心が動かされました。ここで開業しようと決めました」と、当時を振り返る。

2024年8月に開業した「Guesthouse泉屋」には、関東や関西をはじめ、海外からは台湾、韓国やフランスから宿泊客が訪れ、「氷見のまちに暮らす宿」のコンセプト通り、昭和・平成時代の雰囲気が残る町並みを眺めながら、穏やかな日常生活を満喫しているという。
今後について野元さんは「宿では、アクセサリー作りやライブ、個展などのイベントも開催しています。宿泊する人だけではなく、さらに地域の方にも気軽に立ち寄ってもらい、旅行者と地域住民との交流の懸け橋となる場にしていきたいです」と、はにかみながら話した。

【朝日町・民泊たなごころ】牧歌的な田園風景を望む「そっと人を包む宿」

続いては、富山県東部 朝日町の民泊施設「民泊たなごころ」。すっかり全国的な風物詩となった朝日町舟川べりの「春の四重奏」、同宿はその美しい景観を目の前から望む絶好の場所に位置している。アクセスは、車の場合は北陸自動車道朝日インターチェンジより5分で、駐車場も完備している。公共交通を利用する場合は、あいの風とやま鉄道泊(とまり)駅より「あさひまちバス」に乗車し、宿の前で下車可能とのこと。

「たなごころ」は2階建て民家の1階部分を提供しており、2名定員が2部屋と1名定員が1部屋の計3部屋を備えている。周辺には牧歌的な田園風景が広がり、まるで田舎に帰ったような懐かしさを覚える。

目立つような看板はなく、玄関口に置かれた小さな石に宿名が刻まれている。それが目印であり、控えめながらも愛らしく、心が温まる。

中に入れば、看板猫の「ねねちゃん」がお出迎え。室内を気の向くままに歩き回る猫の様子に、自然と心がほぐれていく。「手のひらのように、そっと人を包む宿でありたい」。そんなオーナーの思いが、宿の隅々にまで静かに息づいている。
この雰囲気に魅了され、関東や関西、名古屋といった都市圏から宿泊客が訪れる。リピーターも多いという。過ごし方は人それぞれで、宿の自転車でヒスイ海岸まで足を延ばしたり、田んぼ道を散策したり、室内やリビングで読書に耽るなど様々。喧騒から離れた、心落ち着くこの場所での滞在こそが、リピートを生む最大の理由となっている。

泊漁港の海の恵みを盛り込んだ朝食付きプランが人気

宿泊は素泊まりと朝食付きのプランがあり、全体の9割が朝食付きを選ぶほどの人気を誇っている。オーナーは泊漁港の準組合員で、同漁港で水揚げされた魚介類を仕入れ、自ら調理して朝食で提供している。ホタルイカは炊き込みご飯に、カニはカニ汁に、それにハチメ(メバル)の干物などを加えた献立で、ご飯のおかわりは自由。その土地ならではの味わいが、宿泊客の心と胃袋をつかんでいる。

東京から富山へ。心動かされた移住者、民泊オーナー坪谷さんの物語

そんな宿を作り上げたオーナーの人柄とは、どのようなものなのだろうか。
「たなごころ」オーナーの坪谷菜摘(つぼや・なつみ)さんは、東京都出身の県外移住者である。コロナ禍でリモートワークが広まり、地方移住が注目されていた時期に、富山に関心を抱いたという。それまで富山を訪れたことはなかったが、実際に足を運んでみると、美しい山と海、そして地域住民の温かさに触れ、心を打たれた。
富山に移住を決め、まずは朝日町の地域おこし協力隊として活動。任期終了後には、それまで住んでいた家を購入し、2024年4月に民泊を開業した。
坪谷さんは元々広報関係の仕事に従事しており、情報発信には長けている。SNSのフォロワーは約5万人にのぼり、宿の日常や地域の魅力を発信する投稿には大きな反響があるという。それが宿を訪れるきっかけを作っている。

坪谷さんにこれからやってみたいことを尋ねると、「朝食が好評なので、いずれは夕食も提供したいと夢を描いています。ワンオペなので中々大変なのですが、何とかやれる方法はないかと考えています」と、ゆったりとした表情で語った。

【富山市・売薬宿屋山キ】岩瀬の町並みに位置「越中薬売りの記憶を紡ぐ一棟貸しの宿」

最後に紹介するのは、富山市の民泊施設「売薬宿屋山キ(ばいやくやどや・やまき)」である。富山市岩瀬エリアは、江戸時代初期からの古い町並みが今も残る人気の観光スポットだ。近年では、土蔵を改装したギャラリーをはじめ、ビールパブや日本酒バー、レストランが注目を集めている。その歴史ある町並みに調和するように、「山キ」は1棟貸しの宿として静かに構えている。アクセスは、富山駅から路面電車に乗車し、競輪場前駅で下車後、徒歩約10分。車の場合は、周辺のコインパーキングを利用する。

「山キ」は2020年3月に開業。客室は1棟貸しで、最大6名まで宿泊可能。クイーンベッド1台、セミダブル2台、和布団2組を備える。
 

「山キ」は、越中富山の薬売りとして知られる「売薬さん」がかつて暮らしていた家を再生した宿である。売薬さんは薬箱を背負い、各地を巡って薬を届ける仕事をしていたため、この家自体が薬屋だったわけではない。むしろ、旅から戻る売薬さんを家族が待つ、温かな日常の場であった。そんな家には、売薬さんの営みや家族の記憶が息づいており、宿泊者はその物語に触れることで、単なる滞在が地域の歴史に触れる特別な体験へと変わる。「山キ」という名前も、当時使われていた屋号に由来している。

「ふじ居」の味を宿で堪能、ミシュラン店のケータリングプラン

「山キ」の宿泊プランで特徴的なのは、4月から11月の期間限定で、近くのミシュラン獲得店「ふじ居」の仕出し料理を夕食として宿で楽しめるケータリングプラン(1泊2食付き45,000円~)。名店の味を宿泊先でゆっくり味わえるこの機会は、非常に貴重である。

歴史ある空き家再生への想い

「山キ」を運営する富山市の不動産業「シェアライフ富山」は、歴史ある空き家の再生に力を入れている。古い、形が悪い、間口が狭い、そんな理由で活用されない家にも、唯一無二の価値があると信じている。 「山キ」はその象徴的な存在であり、今後も空き家再生に貢献していきたいというのが、オーナーの願いだ。

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