【高岡市】加賀屋女将プロデュースの日本料理店「万葉」で味わう極上のおもてなし

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高岡市の商業施設「ウィング・ウィング高岡」に2025年3月、石川県七尾市の和倉温泉「加賀屋(かがや)」の女将が手がける日本料理店「万葉(まんよう)」が開店した。同店を訪ね、伝統ある加賀屋流のおもてなしと、富山と石川の地元食材や伝統工芸品の器などを使ったこだわりの会席料理を堪能した。

“日本一の宿”加賀屋イズムを高岡の地から発信

加賀屋は旅行新聞社主催の「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」において36年連続で総合1位を獲得した実績を持つ、一度は泊まりたい憧れの温泉旅館として知られている。同旅館の女将が周囲の協力を得て別会社を設立して「万葉」を開店、高岡の地から“加賀屋イズム”を発信する拠点となっている。

各部屋に接待係が付く伝統のおもてなし・「雄山」コースに舌鼓

万葉は完全予約制で、全9室、最大56人収容。各部屋には接待係が付き、料理や器の詳細を丁寧に説明するため、お品書きは用意されていない。料理や器は月替わりで、接待係は一品一品を覚え、心を込めて説明する。これは加賀屋が大切にしてきた“心に寄り添うおもてなし”の文化である。
万葉の会席料理は、富山県ならびに高岡市ゆかりの観光地から名前を付けた「二上山(ふたがみやま・11,000円)」、と「雄山(おやま・16,500円)」、「大汝山(おおなんじやま・21,000円)」の3つ。今回は人気の「雄山」を味わった。

部屋に通されると、まず目に入るのは輪島塗の卓上盆。黒漆に金箔で立山連峰と雨晴海岸が描かれ、上品な雰囲気を醸し出す。この盆を介して、これから趣向を凝らした様々な料理が提供されていく。箸置きは九谷焼が使われ、万葉集で知られる高岡の歌人・大伴家持(おおとものやかもち)の歌碑が赤で記されるなど、細部まで能登と高岡の文化が息づいている。

接待係から朱塗りの輪島塗の杯にノンアルコールの梅ジュースが注がれる。口に含むと、さわやかな酸味とすっきりとした甘みがすうっと喉を通り、夏の暑さを和らげてくれる。

地物食材と伝統工芸品の器にこだわった料理

料理は先付三種から始まる。ガラスの器に盛られたエシャロットと加賀太きゅうり、トマトを唐辛子みそで味わう。シャキシャキ、コリコリといった新鮮な野菜そのものの食感と、ぴりっと辛い味噌に食欲がさらに刺激される。

続いてトリ貝の松前漬け、ドジョウの蒲焼き、川エビ、枝豆の鳥松風焼き、トウモロコシのいしる焼きを口に運び、一つ一つ丁寧に料理された品の味をじっくりとたしなむ。

お椀はしじみのお吸い物。金色の文字で「富貴長命(ふきちょうめい=長生きで、高い地位を持っていて、多くの資産があること)」と記された塗椀に、滋養深いしじみの風味が広がる。

北陸自慢のお造りは、マグロとカマスが石川県田鶴浜(たづるはま)町の伝統工芸品の組子、ハタ、フグ、バイ貝、アカモクと海藻のゼリーは有田焼にそれぞれ盛られている。高岡市の山元(やまげん)醤油と能登の塩を好みで付けて食す。どちらも素材の旨味を引き出す味わいで、富山湾と能登半島の誇る海の恵みを堪能した。

煮物は加賀の郷土料理「治部煮(じぶに)」。接待係いわく、高岡市でも食卓を飾る品として親しまれているという。合鴨、すだれ麩、里芋などがとろみのある出汁で煮込まれ、甘辛い味わいが口の中で広がる。

魚料理はタチウオの塩焼き。ふっくりと焼き上げられ脂の乗った上質な旬魚に舌鼓を打つ。

肉料理は、富山牛のヒレ肉を能登塩とワインソースで。ヒレ肉とは思えないほどのふんわりとした素晴らしい焼き加減に感動を覚えた。

蒸し物は冬瓜(とうがん)まんじゅうにフカヒレあんをかけた上品な一品。もちもちとぬっとりの食感が絶妙。

芸術作品のような一品・料理長注力の「立山見立てマグロ乗せ」

食事の締めは、料理長が力を注ぐ「立山見立てマグロ乗せ」。艶めいた光を放つ輪島塗の赤椀に、白飯、漬けマグロ、とろろ芋、ウニが盛られ、立山連峰の雪解けを表現。芸術作品のような美しさに、思わず息をのむ。磯の香り豊かなあおさ入りみそ汁、漬物とともにいただいた。

四代目徳田八十吉作・優しい色合いの九谷焼と氷菓に癒される

食後は、石川県金沢市の大樋焼(おおひやき)の湯のみで番茶をいただき、デザートの水菓子へ。人間国宝である三代目徳田八十吉(とくだやそきち)の長女、四代目徳田八十吉作の九谷焼の器に盛られた「能登ミルク」のジャスミンミルクアイス、スイカ、ブドウを味わう。優しい器の色合いとさわやかな甘みが、心を癒してくれる。

最後は茶菓子と冷たい抹茶で一服。料理と器の細部にまで込められた地域への想いに、深い感銘を受けた。

結婚・還暦・お食い初めなど各種祝い事にも配慮した設え

「万葉」は会合だけではなく、還暦や結婚、お食い初めなどの祝い事への利用にも対応。予約時に伝えておけば、ちゃんちゃんこや赤ちゃん用のお膳用意なども用意してくれる。こうした”お客の一歩先を行く”配慮は、加賀屋が創業以来大切にしてきたものだ。
万葉の営業時間は11:30~14:00、17:30~22:00。月曜日、水曜日定休。

Column

高岡駅付近の居酒屋めぐり-1

高岡駅付近の居酒屋めぐり

連載【ジモメシ放浪記9】では、今回の舞台となった万葉近くの高岡駅前で地元民が通う居酒屋やスナックをめぐる様子を書いています。今回の記事と合わせて、高岡の飲食を楽しむ参考にご覧ください。

【ジモメシ放浪記9】

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