富山市中心市街地の総曲輪(そうがわ)でたしなむ大人時間!創作中華とワイン食堂を訪ねて【ジモメシ放浪記10】

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富山市中心市街地の総曲輪(そうがわ)通り商店街は、老舗百貨店の富山大和(とやまだいわ)や、様々なイベントが催される全天候型野外広場「グランドプラザ」をはじめとした施設があり、人でにぎわう地区だ。今回のジモメシ放浪記は、その地区にあるオシャレな創作中華とワイン食堂をめぐり、小粋な大人時間をたしなんだ。

氷河期世代の流行と文化発信拠点・総曲輪界隈

「氷河期世代」がたびたびトレンドワードとなる昨今、その世代の我々にとって、青春時代の流行と文化の発信地は富山市の総曲輪通り商店街周辺だった。多様なデパートやアパレル店が点在していた学生時代は、新商品を見つけようと服屋への入退店を繰り返すなどして同所をぶらつき、道行く他校生の身なりを観察しては自身のファッションに取り入れた。また、CDショップでイカしたジャケットを見つけては、試聴せずに購入する「ジャケ買い」をし、理想の音楽との当たり外れを楽しんだものだ。
そのアナログな行動も時代の変遷によって消えつつあるが、それでも総曲輪は知人との親ぼくを深める場として、今も頻繁に訪れている。愛着のある中心市街地でジモメシ放浪記を書きたいとオレは思い立ち、初夏のある日、同商店街のアーケードに降り立った。

【1-ichi-(いち)】中華をベースとした創作料理が人気

はじめに訪ねたのは、中華をベースとした創作料理が人気の「1-ichi-(いち)」。今年で10年目を迎えた同店は、茶系にまとめられたシックな外観が上質な雰囲気を漂わせている。店内は心地の良いジャズが流れ、暖色系の照明にドライフラワーなどの飾りつけが時の流れを落ち着かせているように映る。店内は長細いレイアウトで、テーブル席とカウンター席がある。今回はお店おすすめ5000円のコース料理を注文、お酒とグルメ好きなメンバーを集めて杯を交わした。

見た目も美しく食感がたまらない独創的なコースを堪能

一品目は「ホタテとクラゲの焦がしネギソース」。アジサイのような食用の花「アリッサム」があしらわれ、季節感と彩りを与えている。口の中で酢の効いたクラゲのコリコリとホタテのもちもちとした食感を楽しむ。ネギとザーサイがしっとり感を演出し、さらりと食べ終え、次からの料理への期待が高まってきた。

二品目は「カジキマグロのカルパッチョ」。中に忍ばせてある豆腐の特製ソースをかき混ぜながらマグロと絡めて口にすると、マグロの歯ごたえと、まろやかで濃厚なソースの味わいが広がる。と同時にカリカリ感と香ばしさを覚える。何だろう、とじっくりしたためると、クルミが隠されていた。一品目もそうだが、料理の食感にお店のこだわりを感じ、音楽のリズムに乗る調子でテンポ良く食べ進めていく。

三品目は「エビとイチゴのアーモンドマヨネーズ」。見た目重厚な器に盛られて芸術作品のように登場した品は、見ているだけでも満足感に浸れる。イチゴの酸味とエビのぷりっとした舌ざわり、そしてアーモンドの芳醇な風味が合わさる。中華料理っぽくないように映るが、料理のベースには中華料理定番の「エビのマヨネーズあえ」があり、独創的なアレンジがイメージを覆し、新たな味へといざなってくれる。

四品目は「フルーツトマトの油淋鶏(ユーリンチー)」。よく見る油淋鶏の印象とはだいぶかけ離れ、フランス料理のような気品を漂わせる一皿に目が奪われる。フルーツトマトが油淋鶏の脂っぽさを中和し、さらにパクチーの独特な風味がアクセントとなっている。

「私、こんな料理大好き~!」。
これまで食した品々に感動した出席者の女性が、心から嬉しそうに感想を口にする。
「じゃあさ、この料理のどこが美味しいのか書きたいから教えてもらえんけ?」
料理に夢中で取材を一瞬忘れていたオレは、少し焦って尋ねる。
「えーと…。チョー美味しい~!めちゃめちゃ美味しいっ!」
とにこやかな表情をたたえ、満足そうにグラスを傾ける。
「ご…語彙(ごい)力。ま、まあそうなんだけどさ」
美味しいに理由はいらない。幸せを感じれば良いじゃないか。なんだか美食の定義を、その女性の表情に垣間見た気がした。とはいってもジモメシ放浪記としてのグルメ記事の体裁は保たなければ。気を引き締めて後半戦へ。

五品目は「エビと白子のチーズ麻婆」。フグの白子のなめらかさと焦げ目の付けたチーズのずしりとした存在感。海鮮とチーズの味のギャップが面白い。ピリリとしたスパイシーな麻婆、さらにブラックペッパーの辛みが重なり合い、その刺激が酒をどんどんあおらせる。

六品目は「国産牛のロースト」。赤身鮮やかな国産牛ステーキは噛むと肉汁が溢れ出すジューシーな焼き加減。添え物のヤングコーンが鮮度抜群のぷりぷりとした口触りで、肉の味をさらに引き立てる。

七品目は「サクラエビとイクラのチャーハン」。しっとりとした炒め方で、いくらのプチプチさ、シャキッとしたタケノコ、そしてふわっと鼻腔を突き抜けるサクラエビの風味をゆっくりと楽しんだ。

最後のデザート、八品目は「紅茶のプリン」。うす味でさらさらと味わえ、お腹に負担のかからない締めの品としてちょうど良い。まるで紅茶を食べているような不思議な感覚で、大人っぽさとはこういうものかと悟った気がした。まあ現在、全力中年ではあるのだが。
全八品で5000円の素晴らしいコース料理を堪能したオレたちは、気分が高まりもう一軒行こうと店を後にした。

【ワイン食堂ル・グルトン】ワインに合うビストロ料理が評判

二軒目は総曲輪通り商店街の裏手にある「ワイン食堂ル・グルトン」。今回出席者の一人が、同店の生ハムを食べたいと言い出して来店を決めた。こちらもアンティークなドアが欧風の佇まいを感じさせる歴史ある外観で、期待を胸に扉を開けた。
間接照明でシックな雰囲気の店内は、テーブル席と奥にカウンター席がある。二階にも座席があり、グループの利用も多い。ワインの品揃えへのこだわりと、ワインに合ったビストロ料理が評判を呼んでいる。食材には富山県の新鮮な魚介と山の幸を使っており、記念日やデートといったとっておきの時間を過ごす場所としても見逃せない。

やみつきになる良質な脂が乗った「生ハム盛り合わせ」

店主おすすめのワインをはじめ、各々好きな酒を注文して二次会開始の杯を上げ、お望みの一品「生ハムの盛り合わせ」をつまむ。よい塩梅にスモークされた生ハムの油がとろけるほど良質で、全体の塩味が酒に合う。やみつきになる逸品で、気づけば二杯目のハイボールを注文していた。

つるつるしこしこな食感の生パスタ

続いて生パスタが運ばれてきた。「茄子と厚切りベーコンのパスタ」と「魚介のオイルパスタ」で、それぞれ2~3人前分ずつ皿にたっぷりと盛られた様子が、“食堂”のネーミングにマッチしている。
「パスタすごい量だね!あふれかえる♪パスタの山♪やん!」
思わず、昔大好きだった日本のロックバンドのとある歌詞を口ずさむオレ。
「………。みんなでシェアして早く食べようよ!」
全く誰の心にも響くことなくスルーされる。まあそうだよね、年を重ねるごとに他人の趣味への興味関心は薄れていくもんだよねえ、と悲哀を感じながらパスタを口に入れる。

生パスタのつるつるしこしこした食感に驚かされる。一軒目でお腹も満たされており、パスタは入るのか疑問だったが、まるで胃がもう一つ増えたようにパスタはすいすいと胃に収まっていく。甘いものは別腹ならぬ、生パスタは別腹。そんなくだらない駄洒落を考えながら食べ終えた。

未体感な味わいのスイーツ「パブロヴァ」を満喫

最後は数量限定デザートの「パブロヴァ」を一口。メレンゲに生クリームやブルーベリー、イチゴなどのフルーツが盛りつけられた写真映え間違いなしの一品。メレンゲのサクサク感とフルーツの酸味がさっぱりとした味わい。あまり馴染みのないメレンゲを使った新たなスイーツの味を知れてオレはまた一つ人生の経験値を積むことができ、今回も大満足で放浪を終えた。

若者の流行文化発信拠点から、大人の時間をたしなむ拠り所へ。時代が変わっても、総曲輪界隈はいつもオレに新たな出会いと刺激を与えてくれる小意気な場所だ。これからも馴染み深いこの地で、いつもの仲間や新たな仲間と酒を酌み交わして親ぼくを深めたい。そんなことを思いながら、オレは足取り軽やかに帰路へとついたのであった。

Column

【ジモメシ放浪記9】-1

【ジモメシ放浪記9】

高岡駅前の人気居酒屋や老舗スナックをめぐった前回のジモメシ放浪記はこちらから。

【ジモメシ放浪記9】

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