音楽イベント「ONE FES(ワンフェス)」に懸ける青年たちの想い

  • 今年も5月に射水市の海王丸パークで開催されるONEFES

    今年も5月に射水市の海王丸パークで開催されるONEFES

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ロックフェスティバル。今や開催は全国各地で年間300を超え、多くの音楽ファンを魅了するのはもちろん、集客によって地域の飲食や観光消費の波及効果も生み出している近年のビッグイベントの一つだ。
ロックフェスといえば、「フジロックフェス」や「サマーソニック」、「ロッキンオンジャパンフェス」の三大フェスが有名だが、実は我が富山県にもそれらのフェスに負けないくらいの熱量を持った音楽フェスがある。その名は「ONE FES」。

富山県で産声を上げたロックフェスティバル「ONE FES」

2019年に産声を上げ、コロナ禍による中止の憂き目にあいながらも開催を継続、第二回目の昨年は2日間で延べ5500人を集めた「ONE FES」。
今年(2023年)もゴールデンウィーク真っ只中の5月3日から2日間、射水市の海王丸パーク横特設ステージを会場に、20組を超えるラウドロック系音楽アーティストを招いて開かれる。
同フェスは音楽が好きな地元の青年らが集い、大手プロモーターを介さずにアーティストをブッキング、会場整備や場内アトラクションの企画のほとんどを自分たちで手がけている。
「手作り」フェスの運営のためには労力や資金の負担は大きいと推察されるが、それほどまでに情熱を注ぐのは一体何だろうか。
凍えそうな2月のある夜、同フェス実行委員会の様子を取材した。

フェス後の景色が原動力に

「フェス後のステージから見たお客様の笑顔。素晴らしい景色。あれが忘れられないし、原動力になっています」。
と、同フェス実行委員長の加治浩和さん(40)は、喜々とした表情で開催の想いを語り始めた。

「富山県には素晴らしい海と山の幸がある。自分の好きな音楽、そのイベント開催を通じて生まれ育った街に恩返しをしつつ、県民にも音楽の素晴らしさを知って欲しい」と力を込める。
県内外からの集客によって富山県の観光資源と地域産業のPRにもつなげ、地域に根付いたイベントとして持続的に開催していくのが目標だ。
今年は「打首獄門同好会」や「四球星」、「夜の本気ダンス」など、若年~中年層に支持され、第一線で活躍するアーティストが集い、2つのステージに分かれて熱演する。2日間で計約10000人の集客を見込む。

親子にも優しいイベント

どの顧客層にも気軽に来てもらえるよう、会場の設営は工夫を凝らしている。
子育てでライブから足が遠のいている親子連れには、会場内に授乳室やおむつ替え場等を用意して過ごしやすい環境を提供する。加えて、子どもたちが木と触れ合える木育コーナーや無料楽器体験コーナーも設ける。
また、小学生以下の幼児、65歳以上の高齢者、身体障がい手帳所持者は入場無料で、高齢者用の休憩テントも準備する。
このほか、肉料理にまつわる食のイベントやスポーツ体験コーナーの開設も予定されており、1人からカップル、家族連れなど老若男女問わず一日中楽しめる内容となっている。

夜遅くまで議論する実行委員会

この日の会議では、会場の動線や受付の方法、人員配置について夜遅くまで議論が繰り広げられていた。
加治さんは会場の平面図を広げながら、最高の笑顔と愛につつまれた野外フェス会場にするため、実行委員会のメンバーから意見を募る。
参加したメンバーは、本業を終えて駆けつけたばかりというのに疲れた顔一つ見せず、よりよいフェスにしようと活発に発言する。
「地元の方にも是非このONE FESに参加して、音楽の魅力を感じ、一緒に富山県を盛り上げて欲しい。音楽が地域を救う力となってほしい」と加治さん。
想いを体現するべく準備は着々と進められ、メンバーの一言一句にも熱が帯び始めた。

Column

会場ボランティアを募集

取材を終えて原稿を書きながら振り返ると、若き実行委員会メンバーがロックの音楽姿勢そのものの「衝動」に駆られ、自分たちの知恵を絞り、自分たちにしかできない手法を生み出し、そして自分たちの住む地域の活性化につなげたいとの気持ちがひしひしと伝わった。
ONE FES実行委員会では会場運営のボランティアを募集している。一緒に地域のイベントを創り上げたい、音楽が好きで盛り上げに一役買いたい人は一度お問合せを。

せっかくなので港町探訪も

さて、せっかくなのでフェスと一緒に射水市の観光ポイントを訪ねてみてはいかがだろうか。
会場となる海王丸パークには、新湊大橋、立山連峰との三位一体の調和が美しい海王丸が停泊している(総帆展帆(そうはんてんぱん)は5月6日)。また、恋人の聖地としても人気があり、モニュメントの前で撮影してフェス参加記念を残すのも一興だ。

少し足を延ばすと「日本のベニス」と呼ばれる内川地区がある。遊歩道すれすれに川が位置するのが特徴的で、古民家を改築した隠れ家的な酒場や喫茶店も並ぶ。そぞろ歩きをすると、道ばたに係留している漁船や、風が吹くとほのかに香る潮の匂いから海街の風情を感じ取れる。
海王丸パークから出発して内川地区を遊覧する新湊観光船も人気を集め、海からの視点で海王丸周辺と内川を眺めれるのは、港町ならではの観光オプションだと言える。
音楽に加え、会場周辺の漁師町の文化にも触れれば、より一層思い出深い休日となるだろう。

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