味良し・コスパ良しの隠れ家的居酒屋「丹紋(たんもん)」ローカル線で行く県境グルメ!【ジモメシ放浪記2】

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富山市には美味しい店がたくさんある。それは郊外に目を向けても同じで、地元の日常的な空気を感じつつ、コスパも良い至福の料理を味わえる。ローカル線に乗り、小旅行気分で県境の旧細入(ほそいり)村地区にある隠れ家的居酒屋の「ジモメシ」を、心ゆくまで楽しんできた。

情趣溢れるJR高山線での小旅行

「カタッ、カタ―。カタッ、カター」。
青々とした稲穂が広がる田園地帯を背に、2両編成の普通列車は軽やかな音を立てて南へ進む。車内には制服姿の学生や、大きなリュックを背負った観光目的の外国人、買い物帰りの女性グループなど様々。心地よいリズムを一定に刻む走行音が、静かでのどかな夕暮れのひとときを、情趣溢れる雰囲気にいざなっていく。

35度以上のとろけそうな夏のある日、炎天下の中富山駅に集合したオレたちは、15時49分富山駅発のJR高山線普通列車のステップをかけ昇った。いつもの飲み会では富山市繁華街で杯を交わすが、夏の解放感も手伝い、あまり訪れない富山市郊外で暑気払いをしようと思いついた。小旅行の風情を出すため、めったに乗らないローカル線を利用し、あえて移動時間を楽しもうと富山駅に集まったのだ。
 

向かう先は、富山県と岐阜県の県境に近い旧細入村の楡原(にれはら)駅。列車は住宅街を過ぎ、越中八尾(やつお)駅で富山駅行き列車の通過待ちを挟みつつ、ゆっくりと走る。そのうち、鮮やかなエメラルドグリーン色の神通川の水面が目に飛び込んでくる。神通峡に架かる国の登録有形文化財の笹津橋を抜け、神二(じんに)ダム(神通川第二ダム)を車窓から眺めていると、同じ富山市なのにどこか遠くに来たような旅情感を覚え、心が豊かになってきた。

列車は16時45分に旧細入村の主要地である楡原駅に到着。山あいにぽつんとたたずむ無人駅舎を通り抜け、目的地まで歩く。昔によく見た「たばこ」の看板が掲げられたレトロな商店、駐在所のある交番を見ながら会話して歩く様子は、まるで大人の遠足。オレたちの夏休みはここから始まるのだ、と童心のワクワク感を思い起こし、5分ほど歩いたところで居酒屋「丹紋(たんもん)」にたどり着いた。

旧細入村の名店 居酒屋「丹紋(たんもん)」

民家風の玄関から中へ。丹紋はカウンター席とテーブル席があり、木目調の内装が山間部の趣を漂わせる。今回の「ジモメシ」旅は7人と人数が多く、大部屋に通された。
同店は店主の平野聡さんが1992年に店を始め、32年に渡り地元住民らの食べ飲みどころとして営業を続けている。長年営む飲食店を「ジモメシ」の定義としているオレの思惑と一致し、否が応にも期待が高まる。予約時にオススメの品を注文しており、ビールで喉を鳴らしていると、お楽しみの品々が運ばれてきた。
 

ほろほろととろけ落ちる「しし肉のデミグラスソース」

まずは、ジビエ料理の「しし肉のデミグラスソース」をいただく。口に入れると、じっくり煮込んだ柔らかなイノシシの肉がほろほろととろけ落ちる。臭みもなく、未食な味わいの濃厚でコクの深い一品。臭みを消すニンニクのチップが香ばしく、良い感じに混ざり合っている。イノシシ肉は旧大沢野町で獲れたものを使っており、富山市繁華街でも中々口にできない地産地消のメニューに、「こんな料理があったのか!」と驚き感動する。
続いては、「牛すじの煮込み」。これもじっくりコトコトと煮こんであり、トロトロな牛すじの食感と、ダシに染みわたる肉のうま味に酔いしれる。ちょうどよい塩梅の味付けで、家庭料理のような優しさを感じる。この二品で、丹紋の煮込み料理は間違いのない選択なのだと知識を新たにした。

食欲をさらにたぎらせる「ポテトと明太子のチーズ焼き」

オススメの品の最後は、「ポテトと明太子のチーズ焼き」。アツアツの状態で運ばれてきた品をふうふうと息で冷ましながら、ぱくりと口に入れる。男爵イモのみずみずしさが感じられ、そのイモを包み込む香ばしく焼き上げられたチーズの濃い味と、明太子のピリリとした辛みがアクセントとなって口の中に広がっていく。加えて、隠し味であろうバターの柔らかくクリーミーな風味がオレの食欲をさらにたぎらせる。飲兵衛には病みつきになる一品で、気付けばハイボールの注文が3杯目に差し掛かっていた。

味に満足してオススメ品を平らげ、エンジンの掛かってきたジモメシのメンバー一同。さらに追加料理と、白黒板に手書きされた多種多様なメニュー表を見て、あれこれ相談する。山間に住む地元民のために刺身系の料理にも力を入れていると耳にしていたので、「岩ガキ」を注文した。

山あいで「キトキト」な岩ガキにかぶりつく

つやつやした色を放ちながら運ばれてきた岩ガキは、岩瀬漁港から仕入れており、一目で新鮮と分かる一品。レモンをかけてかぶりつく。プリプリでつるつるとしたカキの食感と、すがすがしい磯の風味、ミルクのような味わいを堪能する。そもそも、岩瀬漁港からこの地までは1時間弱で、その日獲れたものを提供するのには問題のない距離なのだ。山間部だから生魚は新鮮ではない、というオレの偏屈な考えをひっくり返す「キトキト」な品であった。

そのほか、焼き加減ふっくらの焼き鳥、富山県民ならではの酒のつまみであるバイ貝煮込みを満喫。それに比例してビール、焼酎、ハイボール、さらにヒレ酒と杯が次々と重ねられていく。それだけ料理を楽しんだ証拠でもあり、最後の締めに温かでふわふわなキムチ雑炊をたっぷりと食べ、腹を満たして暑気払いという名の大人の遠足は幕を閉じた。

力の限り食べて飲んで5000円以下

全員で力の限り食べて飲み尽くしたが、それでも会計は7人で33000円と1人5000円以下。電車賃を考えても、充分に元を取っている。ちょっとした旅行気分を楽しみたい富山県民や、富山市での自由時間を有意義にしたい県外旅行客にも推薦できる郊外居酒屋訪問プランになるのでは、と職業柄考えてしまう。富山駅行きのJR高山線に揺られつつ、この小さな旅の愛おしさを感じながら帰路についたのであった。

ささいな不便を楽しめば、いつもとは違う視点が広がり、その後は驚きと感動が待っている。富山県と岐阜県の県境、旧細入村で店を構える「丹紋」は、味良し・コスパ良しの「真」隠れ家的居酒屋だった。

Column

【ジモメシ放浪記1】-1

【ジモメシ放浪記1】

朝日町にある口コミ評価の高い旅館「城山荘(しろやまそう)」を取材した第一回目のジモメシ放浪記はこちらから。
※ジモメシとは…地元飯の意味を含み、長年営業を続けている渋めの店で出される料理を指す造語。

口コミ評価4.8以上!朝日町の旅館「城山荘(しろやまそう)」で食すウチのご飯

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