富山の新酒を愉しもう!

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美味しいお水が豊富で米づくり同様、酒づくりも盛んな富山県。秋に収穫したお米を使って、冬~春にかけては日本酒が造られます。

12月下旬から2月頃にかけては新米で造られた日本酒、新酒が各蔵から出そろいます。冬から春にしか買えない日本酒の楽しみ方を石坂善商店(いしさかぜんしょうてん)の看板店主・石坂信代(いしさかのぶよ)さんに伺いました!

「新酒」だからこその味わい

新酒とは、読んで字の如く「新しくできた日本酒」のこと。「新酒」の特徴は、みずみずしいフレッシュな味わいにあります。
日本酒は熟成させることで丸味やコク、深みが生まれます。「新酒」の味わいはそれとは対照的。
甘味、酸味、苦味などがそれぞれに主張する若々しさと勢いのある口当たりは、できたての「新酒」ならではです。

生酒と書かれている「新酒」のなかには、酵母がまだ生きているものも。開栓時に注意しないと吹きこぼれるのはそのためです。

そのようなお酒を口に含むと舌にピチピチとした刺激を感じ、スパークリングワインのような楽しみ方もできます。購入後は発酵がすすまないよう冷蔵庫で保管してください。

高岡・勝駒のかちこま しぼりたて新酒

明治39年、高岡で創業した清都酒造場。
造り手は僅か五人。量産をしないため入手困難だとよく言われているお酒です。

新酒の時期は平仮名の「かちこま しぼりたて新酒」として登場します。新酒のかちこまはフレッシュですっきり、ついついすすんでしまうお酒。
新酒は通常の日本酒よりアルコール度数が高めです。気づいたら大変なことになってしまいますのでご注意ください。

かちこま しぼりたて新酒
アルコール分/18度以上19度未満

南砺・成政の雄山錦 純米しぼりたて生

明治27年創業の蔵元「成政」。「成政」という名前は戦国時代、織田信長の黒母衣衆で越中の国主であった「佐々成政(さっさなりまさ)」から。
佐々成政が山中で水を求め、槍で地を突いたところ、そこから水が涌き出たといういわれている「槍の先の水」で酒造りが行われたため「成政」と名付けられたそう。

「成政 雄山錦(なりまさ おやまにしき)純米しぼりたて生」は新酒が持つ風味・勢い・辛味、後醗酵による微炭酸のシュワッとした爽快感が特徴の生酒。
取扱い注意と書かれているだけにアグレッシブな日本酒になります。いただいたところシュワシュワで爽やかな日本酒でした。コッテリとした食事にも合いそうです。

成政 雄山錦 純米しぼりたて生
アルコール分/16度
精米歩合/60%

氷見・髙澤酒造の八代山

氷見(ひみ)漁港にほど近い「髙澤酒造」。
髙澤酒造は、富山県内で唯一、昔ながらの手作りにこだわり「槽搾り(ふなしぼり)」を守り伝えている酒蔵です。
髙澤酒造場は令和6年能登半島地震により被災し、当初仕込みの再開の目処は立っていなかったそうですが、3月に入り、苦難を乗り越え再開しました。
氷見の被害はまだありますが、少しずつ復興しているようです。

八代山(はったいせん)は石動山仏教で有名な謙信街道で、減化学肥料で栽培された八代産の春陽を使用。仏教徒修行の聖地の名前をとり、八代山と命名されました。
春陽は、米タンパク質のうち易消化性タンパク質であるグルテリン含量が通常品種より少なく、低タンパク。
すっきりとした味わいで、エッジがあり、キレが抜群のお酒です。

清酒 八代仙
アルコール分/17度
精米歩合/60%

利右工門(りえもん)は「槽(ふね)搾り」の製法で作られたお酒。
槽搾りとは、木などつくられた細長い酒槽に、もろみを入れた酒袋を何層にも重ね、押し蓋をし、上から圧を掛けて搾る製法です。

利右工門は醸造アルコールを添加しているアル添と呼ばれる普通酒になりますが、フルーティーな香りの飲みやすい生原酒です。
口当たりが優しく繊細な味わいに仕上げることができる「槽搾り」の製法だからこそ。

「アル添酒は苦手」「お酒は純米がいい」という方も是非チャレンジしてほしい柔らかいお酒です。

有磯曙 搾りたて生原酒 利右工門
精米歩合/70%
アルコール/19%

八尾・玉旭酒造のBlackとMOTHER

富山市八尾(やつお)町にある玉旭酒造は新しい表現を持った日本酒を数々リリースし、いつも挑戦的で芯の通ったお酒を作り出しています。

「玉旭 Black(たまあさひブラック)」は日本酒独特のフルーティで爽やかな香りがします。
やや辛口で純米酒のコク、原酒のしっかりした味が特徴になります。

純米吟醸生 玉旭 Black(ブラック)
精米歩合/55%
アルコール度数/16%

自社で無農薬のお米を栽培し、そこから出来たお米で酒を醸している「玉旭 MOTHER 酒母搾り」。
「玉旭 MOTHER 酒母搾り」は米の甘味がしっかりあるながら発酵段階の酸もしっかり感じ「甘酸っぱい」タイプの日本酒です。
まるで白ワインの様なテイストが楽しめます。

本来日本酒は蒸した米・麹・水で酵母を培養した酒母(しゅぼ)を作り、そこにさらに蒸した米・麹・水を加えて量を増やした酛(もと)を作ってから搾ります。 
酒母搾りは酒母の状態で搾るため、酵母が糖をアルコールに変える割合が少なく、甘くて酸味の強い日本酒になるそうです。

玉旭 MOTHER 酒母搾り 純米生原酒2024
精米歩合/70%
アルコール度数/12%

お酒を選ぶときは精米歩合も参考に

今回紹介したお酒の精米歩合を分かる範囲で紹介しています。
精米歩合とは、精米(玄米から表層部を削った米)して残った米の割合を%で表したもの。
原料として使われるお米は、私たちが普段食べている食用米に比べると、より磨かれた状態で使用されます。

食用米の精米歩合はおおよそ90%程に対し、日本酒造りに使われるお米の精米歩合は、70%前後が一般的。

大吟醸酒になると、50%以下になります。
吟醸酒の場合は米の半分以上を磨いていて、すっきりしたお酒が多くなり、精米歩合が高い、より磨いている方が、華やかな香り高い日本酒になります。

といっても精米歩合に反して、口に入れたとき軽やかなお酒に出会ったときもありました。日本酒の奥深さはまさに沼です。

新酒との出会いは一期一会

新酒のシーズンは度々足を運んでもラインナップがガラリと変わります。
今回取材のため、1月、2月と足を運びましたが、置いてあるお酒が毎回違うことに驚きました。

ぜひお店で一期一会の富山の銘酒を楽しんでみてくださいね。

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