【富山電気ビルレストラン】創業90年、クラシカルな雰囲気で味わう洗練の料理
創業昭和11年。富山市中心部にある「富山電気ビルディング」は、約90年にわたり海外や県内外のお客をもてなす「富山の迎賓館」として地域とともに歴史を紡いできた。国の登録有形文化財にもなったクラシカルな建造物内で、電気ビルレストラン和洋こだわりの食事を味わうのも、旅の思い出に深く鮮やかに刻まれるに違いない。今回は、そんな富山電気ビルディングの魅力に迫る。
アクセスについて
富山電気ビルディングへのアクセスは、富山駅から路面電車に乗り「電気ビル前」の電停で降車してすぐ。所要時間約8分。富山駅からは徒歩でも移動できる距離だ。車の場合は近くの指定駐車場またはコインパーキングを利用。指定駐車場は食事の利用条件によって割引サービスが受けられる。
昭和初期の建築美をいまに伝える外観
電気ビルを訪れてまず印象に残るのは、重厚なタイル張りとベージュ系の落ち着いた色合いの外観だ。格調高く昭和のクラシカルな雰囲気を漂わせる建物は、近くにある富山県庁本館によく似ている。それもそのはず、同じ施工者「戸田組」によって手掛けられたもので、1935(昭和10)年に富山県庁、翌1936(昭和11年)に電気ビルが建てられたのがその理由だという。2018年には国の有形文化財に登録された。夜になると建物全体がライトアップされ、その佇まいは格調高さを一層引き立たせている。
電気ビルの本館玄関から中に入ると、エレベーター横に当時のままの郵便ポストがある。現在もそのまま使用されており、真鍮(しんちゅう)製ポストの経年変化した色合いが、空間に落ち着きを与えている。
【4階レストラン】昭和天皇ゆかりの部屋も
エレベーターに乗りレストラン会場の4階へ進む。同フロアは元々宿泊施設であり、昭和33年には天皇皇后両陛下が国民体育大会ご臨席に伴い宿泊された。昭和49年にレストランに改修してからは予約制のレストランとして親しまれてきた。部屋ごとに趣が異なり、天皇皇后両陛下が宿泊された「6号室」や暖炉のある「3号室」、宴会で利用される「光の間」、和室など様々だ。
【5階大・中ホール】歴史を物語る戦時の火災痕を公開
一つ上の5階は約300人収容の大ホールと約100人収容の中ホールがあり、大規模な会議や宴会などに利用されている。同階は2025年に改修されたが、その際に廊下部分で昭和20年の富山大空襲の火災痕が発見された。
歴史を物語る証として、現在は窓を設けて一般に公開している。また、各階をつなぐ階段は、重厚な人研(じんとぎ)大理石のらせん形状で、何ともノスタルジックな雰囲気を醸し出している。
このように、施設内には時代を感じさせるクラシカルな品々や意匠があちらこちらに残されている。パンフレットを片手に、建物の歴史を感じながらめぐってみるのも一興だろう。
歴史ある館で味わう、至高のフレンチ
ここからは電気ビルレストランの食事について記していきたい。メニューはフレンチと和食の2つのコース料理。一皿ごとの美しい盛り付けと、地元食材を巧みに使った料理を楽しめる。ここでは、筆者が実際に参加したとある懇親会のフレンチコース料理を紹介していく。一品目は「瞬間燻製鮪/大葉ジェノベーゼ/ヤングコーン」。深みのある赤茶色の器に鎮座する一皿は、口に含むと燻製鮪のスモーキーさとジェノベーゼのさわやかな香りが鼻腔を駆け抜けていく。
二品目は「炙り鰻/海のジュ/焼リゾット」。鰻の上質な脂の甘みと、リゾットのクリーミーさが一体となり、奥行きのある深いコクを生み出している。
三品目は「鱧(はも)コンフィ/サバイヨンとソースゼレス」。しっとりと調理された鱧の身をふんわりとしたサバイヨンソースが優しく包み込み、そこに酸味のあるソースゼレスが鮮やかなアクセントを加える。多層的で豊かな味わいが広がる一皿。
四品目は「真鯛ポワレ/柚子ヴァンプランソース」。香ばしく焼き上げられた真鯛に白ワインソースのコク、柚子の清涼な香りが重なり合い、端正な味わいを醸し出す。
五品目は「国産牛サーロインポワレ/ソースヴァンルージュ」。黒と金が織りなす複雑な文様が目を引く重厚な器に、鮮やかな赤身の色合いが映える。絶妙な火入れで仕上げられた肉を口に含むと、ジューシーな旨味がじんわりと広がっていく。
デザートは「幸水梨ヴルーテ/ブリュレ/レモンソルベ」。旬を迎えた梨の瑞々しさに、香ばしいブリュレとレモンソルベの清涼感がコントラストを生む。季節の趣を感じさせる、心地良い締めくくり。
食後のコーヒーをゆっくりと口に運び、クラシカルな雰囲気の中で洗練された料理の数々を思い返す。静かな満足感に浸るひと時だった。
電気ビルレストランのランチメニューは4500円から、ディナーは15000円から提供されている(サービス料、部屋使用料は別)。営業時間はランチ11:30~14:30、ディナー17:00~21:00。
【喫茶サウスウィング】【地下グリル】系列店ではカジュアルなランチも
富山電気ビルディング内には系列店があり、予約不要でカジュアルなランチを楽しめる。同ビル一階の系列店「喫茶サウスウィング」では伝統のオムライスなどの洋食を、地下一階の「地下グリル」では和定食や丼、麺類を味わえる。両施設とも平日ランチタイムのみの営業(喫茶サウスウィングは11:00~15:00、地下グリルは11:30~13:30)。手ごろな価格で食事ができ、ランチタイムは周辺のビジネスパーソンなどでにぎわいを見せる。
最後に
約90年の時を刻むクラシカルな空間と、細部にまでこだわり抜かれた料理の数々。富山電気ビルディングが守り続ける「迎賓館」としての誇りは、今なお訪れる人の心に深く刻まれている。富山を訪れる機会があれば、ぜひこの歴史ある建物に足を運び、その空気を味わってみてはいかがだろうか。
Column
【周辺スポット】富山県内最大の歓楽街・桜木町
富山電気ビルで食事を楽しんだ後は、夜の街に繰り出してみてはいかがだろうか。徒歩圏内には富山県最大の歓楽街・桜木町がある。スナックなどで食後のひと時を楽しみ、従業員との会話に華を咲かすのもきっと旅の記憶に残るはずだ。桜木町についての記事は下記リンクから。
富山県内最大の歓楽街「富山市桜木町」グルメとナイトスポットを探検【ジモメシ放浪記5】この記事に関するタグ
本記事は2026年10月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がありますので、ご利用の際は公式サイト等で最新情報をご確認ください。