【2026年ついに始動】電源開発の歴史をたどる「黒部宇奈月キャニオンルート」に行ってきた!

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長い間、一般の人は立ち入れなかった黒部の奥地。そこをめぐる新しい観光ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」が、2026年10月2日(金)にツアーとして動き出しました。今回は、開業からおよそ2週間後の10月中旬に、Aコースへ参加してきました。乗り物や景色、黒部宇奈月温泉での宿泊の様子まで、体験したままをお届けします。気になっている方はぜひ参考にしてみてください。

「黒部宇奈月キャニオンルート」がついに始動!早速行ってきた!

黒部峡谷の欅平(けやきだいら)と黒部ダムを結ぶ観光ルート。もとは黒部川の発電所を建設するために、整備された工事用のルートです。今まで一般には公開されていないルートでしたが、2018年に関⻄電⼒(株)と富⼭県が協定を締結したことにより、60年の時を経て一般開放・旅行商品化されることとなりました。

歴史は、大正6年(1917年)電源開発に向けた調査が始まったところまでさかのぼります。厳しい自然に阻まれながら、人々は断崖に道を切り開き、発電所やダムをつくり上げました。そんな「くろよん」に至る施設を、実際にたどれるのが大きな魅力。

道中は、工事用トロッコ電車、竪坑エレベーター、蓄電池機関車、インクライン、専用バスと、5つの乗り物を乗り継ぎ、まるでアトラクションのようです。

見学コースは全部で4つあり、それぞれ発着地やまわり方が異なります。

今回参加したAコースは「宇奈月温泉発・黒部ダム着」の2日間。1日目に宇奈月温泉へ前泊し、2日目に黒部峡谷トロッコ電車から、キャニオンルートを経て黒部ダムをめざします。その後は立山黒部アルペンルートを進み、立山駅に到着します。

黒部宇奈月キャニオンルートへの参加は、旅行会社を通じて事前に販売するツアーへの申込みが必要です。

1日目は事前説明会に参加

1日目は、「黒部市芸術創造センター セレネ美術館」で行われる、専門ガイドによる事前説明会からスタート。このときに、パンフレットやチケット代わりのネックストラップなどを受け取ります。ストラップの木札は、黒部川の流木を使ったものでそれぞれ模様が異なり、ここでしか手に入らない唯一無二のアイテムです。旅の記念にもなりますね!

説明会では、電源開発の歴史を中心に、ルートの見どころを教えてもらえます。

印象に残ったのは、約4,000mもの高低差を生かして電源開発が進められてきたというお話。開発は大正時代に黒部川の下流から始まり、時代とともに少しずつ上流へと進んでいきました。黒部川には、15の発電所と5つのダムがあり、黒部宇奈月キャニオンルートでは、この開発の流れを、時代を追いながら感じられるといいます。

そのほか、注意点や服装についても案内がありました。トイレに行けるタイミングもあらかじめ教えてもらえて、安心です。1時間〜1時間半おきくらいに行く機会があるとのことでした。

宇奈月温泉の「サン柳亭」に宿泊してのんびり時間

今回のお宿は、宇奈月温泉の「サン柳亭」。お部屋で露天風呂を楽しめることをコンセプトにした宿で、露天風呂付きのお部屋が7室あります。そのほか、続き部屋になったコネクティングルームや、富山の木材をふんだんに使った特別室など、客室のタイプもいろいろ。

とても丁寧な接客が印象的で、困ったことはなんでも気軽に相談できる雰囲気が心強かったです。

温泉は、露天風呂とサウナが付いた大浴場のほか、貸切露天風呂や貸切岩盤浴も用意されていて、心ゆくまでリラックスできます。

夕食は組子の美しさにも触れられる個室の食事処「松」でいただきました。旬の食材をたっぷりと使用したお料理が続々と運ばれてきます。全体的に素材を生かしたホッとする味わい。富山の食を存分に堪能できました!

食後はひと休憩して、温泉で温まり、次の日に備えて早めに就寝。

お宿の朝食から2日目スタート

2日目の朝は、お宿の朝食でエネルギーチャージ!名物のだし巻き卵をはじめ、焼き鮭やかまぼこ、昆布締めなどをいただきました。

宿泊が伴うと気になる荷物問題……。しかし、このツアーには手荷物配送が付いていて、大きな荷物は自宅に配送ができました!地味に困るものなので、ありがたい限り。

いよいよ「黒部宇奈月キャニオンルート」へ出発!

まずは黒部宇奈月キャニオンルートの入り口を目指す!

7:30に宇奈月駅2階に集合し、黒部峡谷鉄道トロッコ電車で出発です。ちょうど紅葉が少しずつ色づき始めたころ。天気にも恵まれて、とても爽快でした。

しかし、朝早い時間帯、かつ乗っている間は座りっぱなしということもあり、ちょっと寒いなと感じることも……。上着が1枚だと心もとないかもしれません。調整できるように重ね着をしておくのがおすすめです。

約80分で欅平駅に到着し、駅直結の「欅平ラウンジ」で休憩しつつ、セキュリティチェックを受けます。ヘルメットを受け取ったら、工事用トロッコ電車に乗って欅平下部の竪坑エレベーターまで移動します。

竪坑エレベーターで一気に標高800m地点へ

竪坑エレベーターの乗車時間は約2分で、標高差はなんと約200m。50階建てのビルに相当する高さを、一気に昇ります。大人が30人以上乗り込んでも少しゆとりがあるくらい、大きなエレベーター。

山の中腹を垂直に貫くこのエレベーターは、鉄道を延ばせない急な地形のために、昭和14年(1939年)に設置されました。エレベーター内にもレールが敷設されているため、貨車をそのまま載せられるという特徴があります。当時は日本一の高低差だったそうですよ。

上部に到着し、扉が開くとそこにはトンネルがあり、タイムスリップしたような気分に。いよいよ黒部宇奈月キャニオンルートが始まったのかという実感が湧いてきました!

蓄電池機関車で「高熱隧道」へ

続いては、蓄電池機関車に乗って上部専用軌道を進みます。全長は約6.5km、所要時間は約35分です。

乗車時間は長いものの、乗り物内では開発の歴史や乗り物についての説明動画を鑑賞できるようになっていて、あっという間に時間が過ぎていきます。

それほど電源開発に詳しくなかった私でも、実際にその場所を通りながら、動画やガイドさんからの説明を通して学びを深められました。ただ見るのではなく、学生時代の社会科見学のように学びながら観光できたのが嬉しいポイントでした!

乗ってみて印象的だったのは「ガッタン!ガガガガ!」という大きな揺れと車内の狭さ。着席した状態でも天井スレスレです。ヘルメットを被っていたため、問題ありませんでしたが、入り口や天井で何度も頭をぶつけました。

また、車内に手動式のワイパーがついていたのも印象的でした。ゴムが両側についていて、高熱隧道の区間は車両の外側が、それ以外の区間は内側が曇るので、その両方に対応できるようになっていました。

高熱隧道に近づくと通気口から伝わってくるのか、ほんのり硫黄のにおいが感じられました。一方で、耐熱仕様の客車のため、暑さはほとんど感じられません。

このエリアは、掘削のときに岩盤の温度が160℃を超え、工事が難航した場所。今でも約40℃あるそうですが、車内は快適でした。荒く削られた岩肌からは当時の苦労がうかがえます。

トンネルを抜けると、仙人谷に到着です。標高859mの鉄橋の上で列車が止まり、景色を楽しめます。右手には仙人谷ダムと雲切の滝、左手には渓谷が広がっていました。トンネルが続く旅の中で外の空気に触れられ、ホッと落ち着く時間でした。

「黒部川第四発電所」に到着

蓄電池機関車の終点「黒部川第四発電所」。黒部ダムの水を使う発電所で、通称「くろよん」として知られています。国立公園の景観を守るため、発電所は完全に地下に作られているのが特徴。この大きな施設が山の下にあると思うと、改めてそのスケールの大きさを実感しますね。

応接室などを見学したあとは、4台の発電機とその下部にあるペルトン水車を見学。

発電機が動いているときは各機の上部にあるランプが点くそうですが、この日は全て止まっていました。稼働している姿を見られず、少し残念だったのですが、実は全部が止まっているのは珍しいとのこと。

どれだけ発電するかは、電気の需要と供給で決まるため、冷暖房をあまり使わない秋は電力消費が少なく、稼働していないこともあるそうですよ。

迫力満点のインクラインへ

ここから先はインクラインに乗り継いで進みます。長さ815m、斜度34°の急な斜面を、約20分かけて登ります。竪坑エレベーターでは運搬できない大型機器を運ぶためにつくられました。

途中、前方から別のインクラインが現れてすれ違う瞬間は、かっこよさと迫力がたっぷりです。すれ違うタイミングをガイドさんが教えてくれて、見逃すことはありませんでした。

まるで映画の世界に入り込んだようで、思わず見入ってしまいました。

専用バスで進んで楽しみにしていたタル沢横坑へ!

薄暗いトンネルを進む車窓は、まるでダンジョンを進むかのようなドキドキ感がありました。

タル沢横坑で一度専用バスから降ります。ここはかなりひんやりしていて、この日の気温は4℃でした。ここが黒部宇奈月キャニオンルートで1番寒いポイントとのこと。

坑内では、破砕帯の水にも触れる機会がありました。氷水のような冷たさで、数秒触れただけで手がかじかむほど。開発当時は、この冷水を浴びながら、年間を通して10℃以下の冷え込みの中で作業が進められていたと考えると、その過酷さがよくわかります。

少し歩くといよいよ楽しみにしていた裏剱を望める展望台です。雲がかからないなどの条件が揃わないと見られないため、出会える確率はなんと20%前後とのこと。幸運なことに、この日はなんと雲ひとつない快晴で、バッチリ拝めました!

温かみのある紅葉と険しい剱岳の共演は、まさに息をのむ美しさ。参加者からも歓声が上がり、最後までみなさん名残惜しそうに、その絶景をじっくりと目に焼き付けていたのが印象的でした。

地下道を抜け、ついに黒部ダム到着!

13:00ごろ、トンネルをくぐり抜けた先でついに黒部ダムに到着しました!

黒部ダムは、堤の高さが186mと日本一を誇るアーチ式のダムで、長さは492mあります。幾度もの厳しい自然に行く手を阻まれ、完成までにかかった歳月は約7年。総工費513億円、延べ1,000万人もの人手がかかりました。

周囲は紅葉し、なんとも秋らしい景色が広がっていました。観光放水期間中だったため、水が勢いよく噴き出す様子も見られ、圧倒されます!地下で見てきた発電所とつながっていると思うと、ここまでの道のりが一本の線になったようで、感慨深かったです。

昼食や立山駅までの移動方法などの説明を受け、ヘルメットを返却したら、ここで一旦ガイドさんとはお別れ。

昼食は「黒部ダムレストハウス」でいただきます。「アーチダムカツカレー」は、ボリューム満点。ピリッとした辛さとカツのサクサク食感が食欲を刺激します!

「ハサイダー」と「黒部ダム」と刻印されたスコップ型のスプーンも付いてきました。

立山黒部アルペンルートで富山駅を目指す

昼食のあと、黒部ダムを観光し、黒部湖駅の入り口でガイドさんから立山黒部アルペンルートのチケットを受け取ります。

ここからは各自でケーブルカー、ロープウェイ、バスなどなどの乗り物を乗り継いで、立山駅を目指します。

10月中旬の大観峰や室堂など標高の高いエリアでは、紅葉は終わりかけ。それでも天気が良く、どこを見ても絶景が広がっていました。特に室堂エリアは、西日が山肌を照らしていて、美しかったです!この日は雲の流れが早く、ずーっと観察していたくなりました。

しかし、1つ注意したいのが、最終バスの時間(この日は16:20)。意外と時間に余裕はないので、うっかりみくりが池などでじっくりと景色を楽しみすぎると、乗り遅れてしまう可能性も出てきます。景色を満喫しつつ、時間に注意して行動してくださいね。

黒部宇奈月キャニオンルートの感想まとめ

移動は長めですが、本当にあっという間。実際に参加してみて「黒部ダムの見方が変わる」というのが一番の感想です。

黒部ダムと言えば、あの大きなダムと放水というイメージが強かった私ですが、産業の歴史を理解しながらルートをたどることで、当時の工事の過酷さや、今の暮らしを支えてくれている電気のありがたみをリアルに感じられました。

断崖の奥に巨大な施設を築いた建設の壮大さに触れられる貴重な機会。いわば、贅沢な大人の工場見学のような体験でした。

事前に少し知っておくと、より深く味わえますが、予備知識がなくても飽きることはありませんでした。

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